扉のそとは
清本が次の扉に入った。
入ってからそんなに時間は経っていないはずなのに、なんだかそわそわし始める。
じっとしていられなくて、扉の前をウロウロしてしまう。
桜宮はというと、冷静さを装っているようには見えるが…目が泳いでいる。
『暇かな?暇そうだねぇ~!』
と嬉々として天の声が俺たちにそう話しかける。
「ああそうだよ!暇だよ!」
『だよね~。そうだと思って、特別に暇つぶしを提供しよう。ああ、私はなんて優しいんだろう!』
「暇つぶし…ですか?」
と桜宮は怪訝そうに聞く。
『稲荷・雅がどうなっているかを特別に見せてあげよう。実は言うとね、あの方は今、私の分身と戦っている』
天の声…ブルートはそう言い、俺たちのいるところに大きなモニターを出現させる。
そこに映っていたのは慧架と吸血鬼のアバター…ブルートと思わしきアバター。
どうやら慧架は無事らしい。
そして今戦闘中のようだが…。
「穂村さん、御神楽さんの様子…どこかおかしくありませんか?」
桜宮がそういう。
確かにどこか、様子がおかしい。
いつも俺たちと戦っているときは余裕ぶっかましているくせに…。
動きにキレがないというかなんというか…。
あいつはユグドラシルONLINE最強の『稲荷・雅』だぞ?
あの程度の敵にやられていい存在じゃないはずだ。
「あいつ…どうしたんだよ」
「いつもの御神楽さんの戦い方ではありませんね…。やはり、体調を崩されていらっしゃるのでは…?」
万全な状態じゃない…だからか。
そう言えばここに来る前もなんかぼーっとしてたからな…。
と俺が考えていると、御神楽は地面に膝をついた。
手で頭を押さえてる、だが、すぐ体制を治しブルートに攻撃。
「もしかして…、記憶が戻ったとか…」
「その可能性もありますわね。頭が混乱している状態で戦っている…。だからいつも通りの正常な判断ができていないのかもしれませんわ」
「くそ…早く助けに行きたいのに…!」
「今わたくしたちには何もできませんわ…。叶波が一刻も早くクリアできることを祈りましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます