第1部 4章
潜入!月ケ丘図書館
扉を潜り抜け着いた先は、月ケ丘図書館の入口付近だ。
端末の時計を見てみるともう20時。
この図書館はもう営業時間を終えている。
そして、このあとどう潜入すればいいのか…そこが問題だ。
「まだ、警備員いますね…。どうやって中に入るべきなんですかね、こういうの…」
と私は言う。
さすがにみんなもどうするべきかはまだ考えついていないようだ。
だけど穂村さんは…。
「強行突破するしか…!」
「穂村さん、それはさすがにダメですよ!」
「そうですわ。それに、非行はしないことで有名な『焔竜』の評判も下がってしまいますわよ?」
と強行突破しようとする穂村さんを私と優紗で止める。
優紗の説得を聞いてか、穂村さんは「うぐっ…」とうなり、強行突破を止める。
そんなことをやり取りをしていると、御神楽さんはすたすたと先に図書館の方へ向かう。
「おい、御神楽!お前、何やってるんだよ!?」
と穂村さんが御神楽さんを止めるが、御神楽さんは。
「しっ…!ここは僕に任せて?」
と今まで見たことないような妖艶な笑みを見せる。
あんな姿見たことなかったので私は一瞬ドキッとしてしまった。
「あの…、すみません…」
と御神楽さんは警備員の人に話しかける。
警備員は一瞬むっと御神楽さんを睨むが、御神楽さんを見るたびこわばった顔を緩ませる。
「この本の返却日、今日までだったんですけど…私、営業時間までに間に合わなかったみたいで…。今日どうしても返したいんです、中に入れさせてもらえませんか?」
と御神楽さんは警備員に言っていた。
ちなみにと言うと警備員の顔はだいぶ緩み切っていた。
こんなんで大丈夫なの…?と私は思ってしまった。
もちろん、優紗も穂村さんもそう思ったようだ。
そして、入館の許可はもらったようだ。
「本当ですか?ありがとうございます!よかった…。あの、ひとりで入るの…怖いので手、つないでもらってもいいですか?夜の図書館ってなんか怖くて…。つないでもらえると、私、とても心強いです」
そのあと、御神楽さんは警備員の耳元で何かをささやいていたので私達には何を言っているのか分からなかった。
そして御神楽さんは図書館の中へと入ることに成功。
警備員はというと御神楽さんに夢中で鍵を閉め忘れてそのまま図書館の中へと入っていった。
「いや、あの警備員…ダメだろ…」
「この図書館、この先心配ですわね…」
「『任せて』って…色仕掛けのことだったんですね…。なんか見ちゃいけないもの見ちゃった感じ…」
と私が言うと二人ともうんうんとうなずく。
「ですが、入る事には成功したようですし…」
「そうだな、行くか」
「…はい!」
私たちは気を引き締めて図書館の中へ入っていく。
今回はどこに古いサーバーがあるのか、そして私たちは無事に探し当てることができるのか。
やってみなきゃわからない!やるっきゃない!
ということで、中に入ってしばらく、御神楽さんからメッセージが届く。
『ぼくの方はなんとか警備員を撒けた。あとでそっちに合流するよ』
という内容だ。
いったいどうやって撒いたんだろう…?
「御神楽さん、あとで合流するそうです」
と私は2人に伝える。
「そうか」
「この後はどういたします?二手に分かれるか…それともこのまま3人で探すか」
と優紗は私と穂村さんに問いかける。
先に穂村さんが一言。
「俺、御神楽を迎えに行く。あいつの体調のこともあるし、なんかほっとけない」
「わかりました。では、わたくしと叶波で古いサーバーの手がかりを探しますわ」
「ああ、よろしく頼む」
「お互い、見つからないように気を付けましょう」
優紗のその言葉に私と穂村さんはうなずき、行動に移ることになる。
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