再会、そして…。

 ドーン!

 バーン!

 突然、ものすごい音が聞こえる。

 どうやら近くで起きているようだ。

 どこかで戦闘でも起きているような、そんな騒がしい音だった。


「えっ!?なになに!?」


 私は驚いてそれしか言えなかった。


「ど、どこかで戦闘でも起きている…?」

「ほかにも誰かがいるのか…それとも優紗たちが…?」

「それは確かめないとわかんねえな…」


 私たちはその場でうーんと悩む。

 

「…もしも優紗たちが戦っているとしたら助けないと!」

「でもどうやって?戦うすべはあるんですか?」


 という柳くんに私は何も言えなかった。


「…物は試しだ!」


 と穂村さんはそう言う。

 穂村さんは『Avatar On』と書かれているところをタップした。

 穂村さんの体が光で包まれる。

 すると、穂村さんの姿が、『焔竜』の姿へと変わっていたのだ。


「え、『焔竜』!?」


 柳くんは目の前に『焔竜』がいるのをみて驚く。

 穂村さん自身もこれを見て…。


「うおっ!?なんだこれ!?」


 と驚きを隠せないようだ。


「…ってこんなことしてる暇じゃねえか!清本、柳、お前らもできるんだったらやっといた方がいい。自分の身を守るためにもな」


 という穂村さん。 

 私は自分のアバター画面を見てみる。

 私のにもあった。

 なので、私も自分のアバターを身にまとう。


「あれ?柳くんは…?」


 彼だけ、元のままだった。


「…どうやら、僕のにはないみたいですね。二人と事情が違うからでしょうか…?」

「かもな。それじゃあ柳は俺らで守りながらだな」

「そう…ですね。私じゃ役に立てるかどうか、わかりませんけど…やれることはやってみます!」


 私がそう言うと穂村さんは「よし、そのいきだ!」と私を鼓舞してくれた。


「お前ら、気を引き締めて行けよ!」

「「はい!」」


 私たちは穂村さんについていき、戦闘でも起きているが起きている場所に向かうことにした。

 その場に着くと、そこは戦闘の後の煙が立っていた。

 煙が晴れたかと思うと、ものすごい勢いで何かが吹っ飛んできた。

 それが穂村さんに向かってぶつかる。


「ウゲッ!?」


 変な声を上げて、穂村さんも一緒に飛んで行った。


「ほ、穂村さん!?大丈夫ですか!?…あっ!!!」


 私は穂村さんと一緒に飛んで行ったものの正体を見て驚いた。

 そこにいたのは『稲荷・雅』…の姿をした御神楽さんだったのだ。


「…いったた。って思ったけど、そんな痛くない?あっ、炎真」

「早くどけよ…重い…」

「失礼な、ぼく軽い自信はあるよ?」

「御神楽さん!」

「あっ、叶波。炎真と一緒にいたんだね。無事でよかった」

「御神楽さんも無事でよかったです。ところで優紗は…?」

「キミらいつのまにファーストネームで呼び合うような仲になったの?…っていうのはまあいいか、優紗はぼくと一緒に行動してたよ。んで今、戦っている。そう言えば後ろにいる彼は誰?」


 と御神楽さんは私たちの後ろにいる柳くんを指さす。


「僕は柳竜太です。気が付いたらこんな場所に…」

「そう。キミはアバターの姿になってないんだね。…なれないというべきか」

「そう…ですね。どうやら事情が違うみたいです」

「…おい!はやくどいてくれないか!」

「あっ…」


 穂村さんは、まだ御神楽さんの下敷きになっていた。

 御神楽さんは「ごめん」とつぶやいてその場をどいた。

 そして御神楽さんは穂村さんに手を差し伸べるが、穂村さんはその手を取らず自分で立ち上がる。

 やっぱりお互い気まずいようだ。


「んで?なんでこんな状況になってんだ?」

「どうやらここが目的の場所の近くだったようでね。今そこへ向かおうと思ってたら邪魔ものというか、番人みたいなやつに攻撃受けて今に至るわけ」


 煙がまた一層晴れて、私は優紗の姿を確認できた。


「優紗!」


 私がそう叫ぶと、優紗は私たちに気付いてくれた。


「叶波!穂村さん!お二人ともご無事だったのですね!」

「優紗、ごめん今そっちに戻る!さあ二人も協力してくれるよね?」

「状況が状況だからな、やるっきゃねえ」

「私も微力ながら、頑張ります!」

「…竜太だっけ?キミはどこか安全なところ…はないね。ぼくの『神風之守護カミカゼノマモリ』で守っておくね」


 と御神楽さんは柳くんに防御魔法をかけて、優紗のもとへ向かう。

 私たちも後に続いていく。




 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る