みんなを探して

…なんだか同じところをぐるぐる来ているような気が。


「ちっ…!」


穂村さんの舌打ちに思わず私はビクビクした。

穂村さん本人も舌打ちしたことに気づいたようだ。

またすぐ謝った。


「あっ、すまねぇ…」

「いえ、大丈夫です。こっちこそ一々びくびくしてしまって…」


 なかなかみんなと合流できない。


「やっぱり同じところをぐるぐる来てんな…」


 やっぱり穂村さんも気づいているようだ。


「だた闇雲に歩いて回るだけじゃたどり着けないってことでしょうか…?」

「どこかに仕掛けがあるかもな。試しに床や壁を叩いてみるか」

「そうですね。やれるだけやってみましょう!」


 そして私たちは周りにある壁や床を叩いて様子を見てみることにした。

 しばらくの間、私は床を叩く。

 おっ?ここだけ妙に音が違う気が…?

 何か空間があるような、そんな気がした。


「えっとお前、清本って言ったけか?何か見つけたのか?」


 穂村さんは私にそう問いかけるので私は答える。


「はい、たぶんなんですけど…。ここだけ妙に音が軽いような気がするんです。っていってもたぶんなんですけど…」

「物は試しだ。こじ開ける」

「えっ?でもどうやって?」

「これを使う」


 と言って穂村さんはマイナスドライバーを取り出す。

 彼は御神楽さんの言った通り、マイナスドライバーを使って窓ガラスを割って侵入したのかな?

 

「なんでそんなの持ってるんですか?」

「ああ、俺工業高校に通っててな。なんか癖で持ってきちまった。それに色々役だったしな」

「そうなんですね…」


 穂村さんは腰につけてた工具セットを私に見せてくれた。


「じゃあ、こじ開けてみるぜ?」


 そう言って穂村さんは床の隙間にマイナスドライバーを入れてこじ開けようとする。


「この感じだと、ビンゴかもしれねぇ。ふんっ!」


 と勢いよくマイナスドライバーを押して穂村さんは床の板を取ることに成功した。

 そして中の様子を見てみると何やらスイッチボタンのようなものがある。


「スイッチがありますね…」

「次の道へのスイッチか、それともトラップのスイッチか…。どちらにしろ慎重に行かねぇとな。気張っとけよ?」

「はい!」


 穂村さんは床にあったスイッチを押す。

 するとゴゴゴ…っと何かがゆっくりと動く。

 私たちの左側にあった壁が開き、そこからは階段が現れる。

 ここを下っていけばいいのだろうか?


「階段が現れましたね。ここから次へ進めそう」

「…なんか、ほかにも音がしねぇか?」


 穂村さんがそう言うので、耳を澄ましてみる。

 

「言われてみればそう…ですね」


 ああ、このパターンなんだか嫌な予感がするなぁ…。

 階段が現れた時とは違う、別の音が反対方向から聞こえた。

 段々とその音が近づいてくる。

 そして地響きも感じるようになった。


「なんだか、嫌な予感がするんですが…」

「ああ、俺もだ…。とにかく走ろう、間に合わなくなる前に!!!!」


 私たちはもう、それはもう、一生懸命全力疾走をした。

 走ってる途中、なぜか私は後ろをチラッと見てしまう。

 なんで見てしまったかなあ!?私!

 後ろには巨大な鉄の玉が。

 これに押しつぶされたらひとたまりもないだろうというくらいの大きさだ。 

 それがものすごい勢いで私たちの後ろを転がっている。


「ほほほほ、穂村さん!!後ろに巨大なやつが!トゲトゲもいっぱいついてるやつです‼‼‼‼」

「つぶされるなよ!とにかく走って走って走りまくれ‼‼‼」


 私たちはもう、足がちぎれんばかりに走り続ける。

 これじゃあみんなと合流する前に私の人生、ジ・エンドしちゃうよ~!?

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