みんなを探して2
とにかく、私と穂村さんは走った。
階段を下り終わり、長い長い道を走る。
でも…平均的な体力の私は、もうそろそろ限界が近づいてきてしまった。
「おい清本!走るスピードが落ちてきてるぞ!?」
「ひー!すみません!もう結構限界です~‼‼」
「あきらめるな~!気持ちを強く持て~‼‼」
穂村さんはそんな熱い言葉で私を励まそうとするが、限界なものは限界!
「清本、もう少し頑張れ!あそこの曲がり角に行くぞ!あの玉もさすがにこのスピードじゃ急になんて曲がれねえだろ!」
私は穂村さんの指さす方を見る。
確かに曲がり角がある。
イチかバチか、穂村さんの意見に乗るしかない!
「はい!分かりました!がんばりますぅ~!」
私はちぎれんばかりの足をこれでもかと動かした。
そして例の曲がり角へ。
どうか、こっちの方へ来ませんように!
そう思いながら私たちは曲がり角の少し奥の方へ行く。
物凄い勢いで巨大な玉(もはやあれって玉なの?とげとげがあったし)はまっすぐに通り過ぎて行った。
「「た、助かったぁ…」」
私と穂村さんは腰を抜かしながらそう言った。
「清本、お前よく頑張ったな…」
「いえ…。たぶん、穂村さんの励ましの言葉がなかったら私、潰れてたと思います…」
私がそう言うと、穂村さんはくすっと笑う。
「まあ、お互い潰れなくてよかった。次へ進むとしようぜ」
「はい、そうですね。行きましょう!」
と勢いよく行こうとしたが、穂村さんは座り込んだままだ。
「…あれ?穂村さん?どうしたんですか??」
私がそう聞くと、穂村さんは少し顔を赤くする。
「すまねぇ…。足腰に力、まだ入ってこねぇわ…。持ち上げてくんね?」
「わ、わかりました!」
私は穂村さんの手を取って引き上げる。
男性だからか重いけど、なんとか引き上げた。
「ありがとう、助かったわ」
穂村さんの顔はもとの色に戻ったが、耳元だけはまだ赤かった。
「さっきの…ほかのやつらには言うなよ」
まだ耳元を赤くしながら穂村さんはそう言った。
「はい、もちろん言いません。…というかたぶん言えない」
「お前が話の分かるやつでよかった…」
安堵の表情を見せる穂村さん。
ああ、きっとこの人周りに振り回されることが多くて苦労が多い人なんだろうな…。
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