廃校探検

裏門を見つけて校舎に入れたはいいけど、鍵がかかっていて校内に入ることは出来なかった。


「…考えてみるとそうですわよね」

「窓壊す…っていうのもなんかなぁ」


私と桜宮さんは困ってしまう。

すると御神楽さんはなにかいい案が浮かんだとでもいう顔をした。


「だれかクリップとかヘアピンもってない?」

「クリップはないですがヘアピンならありますわ」

「あっ、私クリップあります!」

 

 と桜宮さんが御神楽さんにヘアピンを渡す。

 私はクリップを渡した。


「御神楽さん、まさかとは思いますがピッキングでもなさるおつもりで?」

「そうだよ」


 と御神楽さんはいう。


「えっ!?そんなことできるんですか!?」


 私は思わずそう言ってしまった。


「やったことはないけど、偶々昨日そんな動画見てたら『あっ簡単そう』って思ってさ」

「そのような理由でですか…?」


 桜宮さんは御神楽さんのそんな軽いノリに少し呆れた表情を見せる。


「クリップとヘアピン曲げちゃうけどいい?」

「別に構いませんが…」

「私もいいですよ」

「ありがと」


 と御神楽さんはそう言いながらピッキングに取り掛かる。


「えっと確かこれを曲げて…。そんでこれを鍵穴にさして、もう一本もさしてゆっくりと動かせば…!」


 そう言うとカチャッと何か開く音が。

 御神楽さんはドアノブに手をかけると、なんとドアが開いた。


「やった、大成功」

「す、すごい…!」


 思わず私と御神楽さんでハイタッチをする。


「まさか本当に開くなんて…」


 桜宮さんもこれには驚きを隠せなかったようだ。


「よし、第一関門は突破できた。行こうか」


 私たちはうなずき、苗場小学校の校内に入る。


「中は思ったよりもきれいになってますね」

「そうですわね、わたくしも安心しましたわ」

「管理する人か、ボランティアで掃除とかたまーにしてるのかもね」


 だとしたら余計にここにあるものを壊したりしちゃだめだ。


「そういえば穂村さんは無事校内へ入れたのでしょうか?」


 と桜宮さんは言う。

 確かに…裏門がカギかかってたから正門だって鍵がかかってるはずだよね…。


「強行突破で入っちゃってるんじゃない?」

「でもそれっぽい音は聞こえませんでしたけど…」

「音を立てずに窓ガラスを割る方法はあるからね。例えばマイナスドライバーを窓の淵に数回ぶつけるだけで対策のされてない窓ガラスならすぐパリンッ!て砕ける。後はガスバーナーとかライターでガラスをあぶる方法なんかもある」

「御神楽さん、いろいろお詳しいですわね…」


 桜宮さんは御神楽さんを怪しむ。


「言っておくけどぼくは泥棒の経験なんてないからね?むしろぼくんちは狙われる側だし」


 と御神楽さんは誤解を解く。

 確かに、御神楽さんも育ちは良さそうな感じだ。

 そして、私たちは校内を慎重に探索する。

 すると、蒸し暑かった廊下が少しだけ涼しく感じることに気付く。

 一瞬またオバケ!?と思ったがどうやら違う。

 割れた窓があったのだ。


「あっ、ここに割れた窓が…」


 私はそれを見つけたことを二人に言う。


「もしかすると穂村さんはここから入ったのでしょうか?」

「そうかも。…それかほかに侵入者がいるかもだけど」


 それを聞いて私と桜宮さんはゾッとする。


「ひぇっ!?」

「御神楽さん!怖がらせないでくださいます?!」

「ごめんごめん。冗談だよ」


 御神楽さんはふふっと笑って先へ進む。


「「御神楽さん!待ってください!」」


 思わず私と桜宮さんはハモリながらそう言い、御神楽さんを追った。


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