第136話 幼児体型

「……閉じていいかしら?」


おっぱいちゃんが僕に問う。


皮ジャンの前はジッパーが外れてオープン。

下にはシャツの切れ端が見えるが、先ほどイキリ君に破られたのだろう。トップは残念ながら皮ジャンに隠れてしまっていて見えないが、生おっぱいがコンニチワしている状態だ。

そして下半身は白いおパンツという、素晴らしい格好であった。


そして、手を挙げて皮ジャンが上に持ち上がっている今ならよく判る。小柄でやせ型と思っていたが、その割には思ったより腰回りがくびれてないのだ。

太っているというワケではない。これは・・・「幼児体型」というヤツだ。

ちくしょう、どこまでも僕の琴線をくすぐるおっぱいちゃんだぜ。でゅふふ!


平時ならこの素晴らしい光景をいつまでも見ていたい。……いや、更なる天国への扉を開放したいところなのだが、今はそういうワケにもいくまい。

僕は、彼女の目を見返した。


おっと、心なしか彼女の視線が冷たいぞ。

綺麗な女性と認識すれば次はおっぱいに目が行くのが男の性というものであるが、実は女性側からすればその視線に気付いているという説もあったな。何か気まずいぜ。


「……まあいいだろう」


僕は「イエイエアナタノカンチガイデスヨ、ボクハソンナトコロミテマセンミテマセン」と心の中で口笛を吹いて誤魔化しながら、そう答える。

そう。僕は”あの日”もいまも、紳士でありたいんだ。頭に「変態」が着くかもしれないけど。


速攻で皮ジャンのジッパーを上げるおっぱいちゃん。

……何か、思いっきり拒絶されたみたいで悲しいものがあるな。


続いて彼女は膝を折って結束バンドを拾い、イキリ君の背後に近付いた。

そして、イキリ君の腕を掴み……


「……ぐっ!? ああぁぁぁっ!?」


そこで、突然身をよじり、崩れ落ちるかのように膝を着くイキリ君。


!?


そんなイキリ君の突然の行動に、僕は緊張が弾けそうになる。


「おいっ!? 動くなって言ったよな!?」


彼の頭にライフルの銃口を向け、引き金にかけた右指がビクンと反応する。しかしながら、あともう少し力を加えればイキリ君の頭がサヨウナラするところになって気付いた。


「……!? いってェ!!!」


イキリ君の右わき腹の背中側から生えてる棒に。

僕は(ナイフだ!)と半分直感で感じた。

しかし、何故? どこから!? 


後から思えば、イキリ君の突然の行動と、またまた突然背中に生えたナイフ。予想外の展開に、僕の視線と思考は一瞬、そこに釘付けになっていたのであろう。


「……ぐえ!?」


次の瞬間、僕の目の前は真っ暗になていた。



 





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る