第130話 イキリ君!

―— イキリ君目線 ―—


いえ~い、レッツ挿入タイムやで!

 

このガキ、昔から気に食わなかったんや。

気付いとらんと思っとったんか? いつも人を見下しやがって……


でもな、もう時代が違うんや。

ウザかったてめぇのオヤジも始末したし、カシラもソコで虫の息や。これでオレが一番や。もうオレを止めれるヤツは居ねえ。

ははっ! すげえ爽快な気分だわ。”あの日”前には考えられんかった展開やで! 今の世に感謝や!


ひひひ、簡単には殺さねぇぞ。オレが飽きたら陣と坂本、山下にも輪姦まわしたるからな!


……さあて、おかしたおしたるで、このガ―—


―― パァン!


「あっ?」


銃声と同時、オレはいきなり視界を遮られた。目に何かが飛び込んできたからだ。


「なんだあ?」


何が何だかわからない。

目だけでなく、顔全体に温かい液体がブチまけられた感じだ。


坂本がなんかやったんか?

裏切られて撃たれたんかとか一瞬思ったけど、痛みとかは無いし、チキンの坂本がオレを撃つなんて有り得ないし、ソレはないやろな。

……しかし、今から良いところなのに邪魔しくさりおって!

何が何だか分からんが、後でしばいたるわ!


「陣さん!!!」


あー!?

坂本ぉ、陣はオレの目の前や。

オマエがやらかしたのはオレに対してやろ。なんで陣とか言っとんねん。今しばくぞ!


オレは少々混乱する頭で一瞬でそう考えた後、反射的に右腕で顔面を拭い、腹に力を入れ叫んだ。


「ごるァ!! 坂も……あ゛あっ?」


視界が開け、まず目に飛び込んできたのはガキの顔。目を見開いてオレの顔を見ていた。ガキのその顔面と乳は、いつの間にか真っ赤な何かでペイントされている。ワケが分からん。

そして一瞬の後、顔を上げたオレの目の前には、ガキの腕を拘束していたはずの陣が仰向けで寝転がっていた。


「おいおい陣、なに寝取るんや、ガキ逃げちまうやろが!」


オレは慌ててガキの両腕を掴みながら怒鳴る。

まったく、ガキは諦めとるんか逃げなかったから良かったものを。使えない奴らばかりやな!


「おい陣! ワレ聞いとんのか!」


オレは身を乗り出し、陣の顔を……


「……はァ?」


陣の顔を……


陣の……


「……は、はあぁぁぁぁぁ!?」


陣の、


顔が、


無い!?

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