第129話 IPPAI
おっぱいが いっぱーい♪
おっぱいが いっぱーい♪
”あの日”以前にテレビとかから流れてきた歌のサビが、大混乱した脳ミソ内で木霊する。
余談ではあるが、確かこの歌は教育テレビの児童向け番組で流れていたはずだ。サビ以外は思い出せないと言うか頭に入ってきていないから判断に難しいが、このサビでいったい子供の教育にどの様に貢献していたのかは、今となっては永遠の謎である。いや、DVDとか探しまくれば聴くことはできるのかもしれないが、別に永遠の謎でも問題ないからしないけどさ。
女……だったんだ。
いや、確かに当初は性別不明の認識だったと思うのだが、いつの間にか男だと思い込んでいた。いや、もしかしたら乳だけ発達した男なのかもしれないが(混乱)、今なら分かる。分かるぞ! アレは、完全に女のおっぱいなのだ。
ピピピピピピ……
おっぱいセンサー発動。
推定、Ⅾカップ。
押し倒されても形の崩れないソレから、年齢は若い。10代中盤から、行ってても20代前半ってところか。
先ほど下半身が反応してしまったのは、無意識のうちにおっぱいセンサーが「あれは女だ」と反応していたからに違いない。我ながら、素晴らしく高性能なおっぱいセンサーである。
「ひゃっはーっ!! 思った以上にいいモン持ってんじゃねえか」
イキリ君は現れたおっぱいの片方を手のひらで握った。けしからーん!
おっぱいちゃん――元小柄クンは体を捩って抵抗するが、もう片方のおっぱいが揺れて更にエロさを増した結果に終わった。
「おー? どうや今の気分は? これからヤられる気分は? んー? どんな顔してんのや~?」
イキリ君がおっぱいちゃんのヘルメットとゴーグルを強引にむしりとって投げ捨てた。
現れた金髪の長髪。
顔立ちはそこそこってところなのだろうが、先ほど殴られた際に腫れ上がった右の頬が痛々しい。しかしながら、生の女を見たのは久しぶりだからだろうか、それでも僕にはとても魅力的に思えた。
女は正面に顔を向けると、キッとイキリ君を睨みつけた。
そして、唾をペッとイキリ君に向かって吐き捨てる。
なかなか勝気な性格をしているらしい。でも、そんなことをしたら……
「……この期に及んで、いい度胸してんじゃねえかコラァ!」
バシッ!
イキリ君は女の頬を叩く。
うわっ。痛そう。
僕は自分が殴られたことと連想してしまい、顔を背ける。
普段、ゾンビ相手にもっと酷い暴力を行っている僕であるが、傍から見る一方的な暴力シーンには流石に慣れていないようだ。
パァン! パァン!
「あ?」
銃声が響き、イキリ君が動きを止める。
そして、僕も含め、全員の視線が銃声の元に向かった。
「早めにお願いしますよ、兄貴」
坂本クンが覚束ない手つきで拳銃の撃鉄を上げ、次弾を装填しようとしている。もともと拳銃を持っていたはずの壊れた右手は利き手だったのであろうから、もたもたするのも頷けるけど。
彼の視線の先には子供のゾンビの死体が一体増えていた。「早めにしてほしい」理由は、ゾンビの襲撃があるからだろうか。それとも、右手の手当をしたいからなのだろうか。
「おーけい、まあちゃっちゃと済ますわ」
イキリ君は視線を女に戻すと、再びにやけ顔に戻る。
「……ってことで、観念しろや」
イキリ君は顔にかかったままだった女の唾を手で拭うと、右手を女の下半身に伸ばした。
そして、せっせと右手を動かし始める。残念ながらここからでは見たくもないイキリ君の丸出しのお尻とかが壁になり何をしているかは伺い知ることはできないが、経験上予想はできるぞ。
おそらくは女の下半身の着衣を脱がし、性器を弄び始めたのだろう。
「……くっ!」
ここにきて、今まで……殴られた時でさえ一言も声を出さなかった女の口から声が発せられた。顔は見る見る紅潮していく。そして、痛みか快感かはわからないのだが、歯を食いしばって耐えていることは伺えた。
勝気っぽい彼女である。おそらくは、この期に及んでも男たちに弱みを見せまいとしているのであろう。しかしながら、残念なことにそれはそれで男を更に欲情させる結果となるのだ。僕の股間がソレを証明している。
「ははっ! 体は正直ってヤツだな、ははっ!」
「~~~!!」
イキリ君は右手を動かしながら、女の右おっぱいの先端を舐めあげる。
女はビクンと体を跳ね上げ、そして何かから逃れる様に顔を左右にブンブンと振った。
「よおし、頃合いだな」
イキリ君は女の両足を開かせようと力を込める。
女は必死に抵抗して両足に力を込めている様だが、男と女の筋力の差もある上に上半身を拘束されてしまっているのだ。抵抗虚しく、間もなく両足は大きく開かれた。
「へへっ。いい声で鳴けや」
身を捩って抵抗する女。
「おいおい。入んねえだろうが。大人しくしとけや!」
イキリ君の平手打ちが女の頭を揺らす。
「……いや」
「なんやて?」
「いやっ!!」
女はそう叫ぶと、表情が崩れて大粒の涙が現れる。いよいよとなり、受け入れがたい現実を前に出た、彼女の心の叫びだろう。
……残念なことに、それも男を更に欲情させる結果となるのだが。
「はっはーっ! こうでなくっちゃあな!!!」
イキリ君は本当に愉快そうに、そして邪悪な笑いをあげた。
そして――
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