第8話 蝉


第8話 蝉


N:蝉は夏を象徴する昆虫で、幼虫として、3~17年を地下で暮らし、成虫になって

最大で一か月ほどで死んでしまう。


A:「地中の中でずっと住んでいれば死ななくても済むのでしょうか?」


S:「子孫を残すことが生物の根源なので、例え地下で過ごしたとしても、蝉は死んでしまうでしょう。」


A:「儚いですね・・・。」


S:「うむ。しかし、逆に言えば、一生を力強く謳歌したとも言えるのですから、理想の生き方である。とも、言えますね。」


A:「蝉さんよ!キミたちの生き方を僕は尊敬します!」


S:「はい。今回は幼虫期が成虫期よりも長い蝉から、私たちの生き方を考えてみようかと思います。」


A:「お。何か楽しみ!」


S:「はい。じゃ、あっちゃんのメルヘンスイッチが入ったことですし、蝉の一生を人間に置き換えみましょう。」


A:「ナレさんお願いします!」


N:僕の名前は、アツヲ。地中少年13歳。恋人募集中です!テヘ。


 アツヲは生まれた時から、大勢の地中少年達と暮らし、オスの地中少年達とツルんで、生きるためには汚い事もやった。


 しかし、それでもアツヲにとってはかけがえのない大切な仲間で、仲間こそが世界であった。


 そんなおり、仲間の一人がツガイとなり、この世界を旅立った。


 アツオと数人の仲間は、カップルを見かけては、横目でチラリズムして、自分達の内側にうごめく邪悪な パトスを蟻の卵にぶつけた。

 

 それもまた、仲間との大切な時間でアツヲは心から幸せだと感じていた。


 しかし、幸せな時間というものは、長く続くはずもなく。一人、また一人・・・。と、仲間はアツヲ置いて世界から去って行った。


アツヲ:「はぁ。ついにボクだけになってしまった。」


 と、アツヲは肩を落とし、近くの石へと、腰を下ろした。


 メリ・・・。尻の下から、砕けた音と共に石の内側からにじみ出るドロリとした液体がアツヲの白いズボンを濡らす。


 アツヲ:「うあ。なんだこれ、石だと思ったら、ちょど良い椅子サイズの腐った何かの卵じゃないか・・・・。うあ。きもちわるぅ。」


 アツヲは不快感を堪えきれず、腐った卵を持ち上げ、そのまま勢い良く壁へ投げつけた。


アツヲ:「はぁ。ちょっと、無錫者していたものだから、すっきりした。」


アツヲは満足げに、そう呟くと自身のホームへ帰ろうと足を踏みだしたその、刹那。


 背後から爆音を引き下げて、巨大な石がアツヲをめがけて急接近していた。


アツヲ:「ぎょえー!何だあれわ?とにかく。このままではぶつかって

大けがしてしまうかもしれない。」


 アツヲはもうやしっ子に見えて、なかなか逃げ足だけは早かった。


 ベンジョンソンのブーストモード(お薬)よろしく。素早い足さばきで小岩を蹴り壁の出っ張りに指をかけて、超人的な身体能力(ゴキブリスキル)を駆使しながら、崖を中腹まで登った所で、勢い良く転がる巨石を覗き込む。


アツヲ:「あ。あれは巨石じゃない!あれわ!」


 驚嘆を漏らすアツヲの眼前には巨石を転がす。それもまた巨大な昆虫の姿。


アツヲ:「アレはフンコロガシさん!そうか。あの卵は彼女のものだったのか!」


 アツヲが理解すると同時に、巨大なフンコロガシは巨石の塊になった巨糞を前足で転がしなら、物理の法則を無視して、そのままの勢いで壁を登ってくる。

 

 アツヲ:「このままではボク自身があの塊の一部になってしまう!」


 アツヲも負けじと壁をせっせと、のぼるものの、追いつかれる事は必至。まさに絶体絶命の危機!


 もうだめだと、観念したその時!


 巨大な糞を目掛けて何かが、衝突した。その衝撃で巨糞は四方に爆裂し、フンコロガシさんも、爆風に巻き込まれて、地面へと落下した。


謎の美少女さちこ:「まだ、レアだったみたいね♡」


笑顔がとびきり可愛い謎の美少女さちこちゃんは、短い舌を出してほほ笑んだ。

 

 その笑顔と、声を聴いて、ようやく助かったと理解したアツヲは。糞まみれになった顔をこする。


『アツヲはこの日、初めて欲情した♡』


 アツヲはその日から、周到に謎の美少女さちこちゃん付きまとい。口説き、時には拝み奉るような行為を何度も繰り返し、なんども求婚をせまった。


N;しかし、去年の夏。彼女は見ず知らずの地中少年とツガイになり、旅立っていったのであった・・・。

 おしまい。


A:「おしまいじゃねーよ!何ですかこの悪意丸出しな小芝居わ?!だいたい

(ぎょえー!)とか、今日日は言わないし。アツヲ君。ただの残念少年じゃないですか?これの何処に、蝉の一生とかぶる所があるの?!」



二人が立ち去った後・・・。


N:近い将来。人々は生き残りをかけて、地下へと隠れ暮らす時がくるかもしれない。その時まで人類はどれだけの・・・。

 








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