回想

別室へ移動後、教頭から「うかつだった」と謝罪があった。

親と共に、それぞれ事情聴取され、そっと裏門から帰宅させられた。

その後しばらく登校出来ず、自宅学習を指示されたが、マスコミから、行方不明生徒親から、見ず知らずの野次馬からと電話が鳴り続け、結局4人共転校となった。


生き別れ、生死不明…。

ため息を吐く。

生徒Cだった自分は、魔法陣が教室の床いっぱいに輝き、上へと光を伸ばしクラスメイト達を包み、もろともに消えていく一部始終を見た。

生徒Dは自分の表情からか異変に気付き、振り返り、最後の光が消えていくのを見た。

校庭にいた何人かが、教室が光るのを証言した。

「誰も信じてくれなかったなぁ…」

自分の親も、信じなかった。ただ、クラスメイトが消えた事実は間違いないので、嘘だとは言わなかった。

ネットが普及し始めの頃のこと、掲示板には何度も検証スレがたった。検証スレだけでなく、関係者の特定スレまであって、晒される度、電話攻勢が始まったりした。そのせいで何度も電話番号を変え、ひどい場合には押し掛けられて引っ越すことを繰り返した。


大学を出て、マスコミを希望したのは自分が知りたかったからだ。

仕事の合間に聞き込みを続けてきた。発表するわけでもない記事。出版したとしても、とんでも本になるのは間違いない。

それでも家族もろとも、人生をへし折られるようなことになった「あれ」は何だったのか、追わずにはいられなかった。

結局、何も分からなかったも同然。

今まとめているのは、切りをつけるため。いい加減、終わりにしなくては。

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