修羅場

怒号、罵声、号泣、悲鳴。

我が子がよりによって学校内で行方不明。

「そんなバカなことがあるか!」

「ふざけるな!」

教師に掴み掛かろうする父親達。止めようとする教師側。

「…ああっ!」

子供の名前を叫んで泣き崩れる母親。慰めようとする者はいない。

残った生徒4人は、その有り様を教室の隅で見ていた。

そこへ「あんたは無事だったのね!」と生徒Aの親が駆け込んで来た。

「お母さん…!」

生徒Aを抱き締めるA母。

それを見て、いなくなった生徒の母親が叫ぶ。

「ウチの子は?ウチの子知らない?」

「どこへ行ったの?」

教師達に向かっていた親達が、一斉に詰め寄って来てて揉みくちゃにされる。

生徒Dの父親が「落ち着け、止めろ!」と割って入ったが、止まるものでもない。

更に遅れて現れたB両親。

必死の形相に囲まれていた生徒Bは「父さん!母さん!」と二人にしがみつく。

「どこへ行ったんだ?」

「知ってるんだろう?」

まだ親の来ていなかった生徒Cを取り囲む。

見たまま、魔法陣に包まれて消えたと答えると「嘘を吐くな!」と怒鳴られて殴られた。

教師が飛んで来て、親達をかき分ける。

「暴力は止めて下さい!」

だが、言葉で止まるわけもない。

胸ぐらを掴まれ、責められる。

「本当のことを言え!」

「ウチの子に何するんだ!」

ようやく到着したC父が、引き離す。生徒Cの顔を見て、鬼の形相へと変わる。

「殴った奴は誰だ?」

振り返って怒鳴ると「嘘を吐くからだ!」と、怒鳴り返され掴み合いになる。

教師達が生徒とその親達を教室から押し出して、別の部屋へと移動する。

教室の騒ぎは収まらず、背後からはまだ怒声が上がっていた。

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