第2章:私だって転生したい!

私だって転生したい!(1)

・きぃちゃん:ラノベ作家志望のJK2。アホな子。


・桃ちゃん:いい子。


・青ちゃん:オタク気質の子。


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新章開幕ー!!


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1時間目と2時間目の間の休憩時間、

高校の教室で……。



桃 ねぇねぇ、きぃちゃん。


き んー?


桃 どんなお話を書くか、まだ聞いてなかったけど……もう決まってるの?


き おっ、よくぞ聞いてくれました!いろいろ挑戦しようと思ってるんだけどさぁ。


桃 うん。


き いま考えてるのは、異世界転生ものだよ。


桃 あっ、聞いたことある!最近流行ってるんだよね?


き そう!やっぱトレンドは押さえておくべきじゃん?……だよね、青ちゃん!


青 とあるアメリカ人がこんなことを言っている。……「トレンドを押さえないと読んでもらえない。オリジナリティがなければ読んでもらう資格がない」。


き へぇ……いいこと言うなぁ、そのアメリカ人。


桃 有名な作家さんの言葉?


青 ううん。私立探偵の言葉。


桃 探偵……へぇ……。


き 毎日ハンバーガーを食べてると、そんなシャレたことが言えるようになるのかね。


桃 ハンバーガーかぁ……。


き ハンバーガー食いに行くかぁ。


桃 ……えーっと、授業……。


き じつはさ、ちょっと悩んでて。


桃 えっ、どうしたの?


き 異世界転生ものを書こうって決めたんだけど……具体的にどんな風にストーリーやキャラを考えていけばいいのかわかんなくてさぁ。


桃 そっかぁ。


き 何しろ私、小説書くの初めてだから。


桃 うーん……青ちゃん、どうしたらいいのかなぁ?


青 打ち手はたくさんある。


き おー!


青 例えば、転生時に得る能力から考えるのも一案。能力が決まれば、あとは「それを使ってどう活躍するか?」とか、「どうすればピンチになるか?」とか設定していけばいい。


き なるほど!


桃 能力?


き 異世界転生ものでは、転生時に特殊な能力を授かるパターンがあるんだよ。


桃 へぇ!


青 一般的には、その能力を使って異世界で活躍することになる。だから能力が決まれば、エピソードを作りやすいはず。


桃 そっかぁ!


き 能力ねぇ……。


桃 きぃちゃん、何かアイデアある?


き 能力といったら……やっぱ筋肉アップかな!


桃 筋肉?


き いざという時に、筋肉が爆発的に膨れ上がる能力!


桃 ……爆発かぁ。


き ほら、異世界ってどんな危険が待ち受けてるかわからないじゃん?そんな時こそ筋肉っしょ!「筋肉が一番!筋肉があれば何でもできる!!」って言うし。それになにより、ムッキムキな人ってカッコいいじゃーん!


桃 ムキムキかぁ……。


青 ムキムキな人はいいけど、「何でもできる」のはあまりよくないかもしれない。


き えっ!?


桃 青ちゃん、どういうこと?


青 主人公が無敵の能力を持つ話は難しいから、あまりオススメできない。一般的には、主人公が強すぎると物語にメリハリがなくなり、読者は飽きてしまう。


桃 あー、確かに!


き そっかぁ。そうだよなぁ。……筋肉アップは止めた方がいいのかなぁ。


青 筋肉がアップする代わりに、何かを失うという設定にすればいい。そうすればバランスがとれるから。


き なるほど!


青 うん。


き 何を失えば面白くなるかなぁ……。


桃 んー。


き ……うん!IQだな!


桃 IQ!?


き 「オレのターン!IQを生贄にして筋肉を召喚!出でよ、大胸筋!」なんて感じ!……どうかな?


青 とてもユニーク。


き おー、褒められた!


桃 えっと……IQはどれくらい下がるの?


き そうだなぁ……。


青 この世はすべからく等価交換。筋肉とIQは比例関係にすべきだと思う。


き より強力な筋肉を得るには、より多くのIQを差し出すってわけか。


青 その方が、ドラマが盛り上がる。


き 確かに!例えば……最強の敵が現れたらIQなんて気にしてる場合じゃないよね。極限まで筋肉を強化する!つまり、IQはすっからかんになる!……もうね、誰と、何のために戦っているのかすらわからなくなって、敵味方問わずぶち殺していく!


桃 ええっ!味方を!?


青 『ドラゴンボール』の「大猿」にしろ、『エヴァンゲリオン』の「暴走」にしろ、思えば名作にはコントロール不可能な要素がつきもの。


桃 そっかぁ。


青 きぃちゃん、面白くなりそうだね。


き おー、また褒められた!


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これがほんとの脳筋ー!!

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