紫陽花の声




君の言う通り



雨は空の涙で

みんなの悲しみや苦しみ、悔しさや寂しさが

空気に溶けて

それが空へと昇って

たくさん溜まって溢れることで

雨となってこの世界を濡らすんだったら



この空を泣かしているのは確かに

僕たちかもしれないね



でも

雨が世界を濡らすから

山も海も

木々も川も

食物もいろんな生き物たちも

僕たちも

生きていけるんだ



だから僕らの悲しみもきっと必要なんだよ


きっとね。





そう言って優しく笑うあなたが

雨に濡れて輝く夏鳥のように

とても綺麗に見えたの



空の涙に濡れていても

繋いだ手はいつまでも温かくて

この温もりさえあれば

それだけでもう充分で

私は私のまま

あなたはあなたのまま

どんな道も歩いて行ける気がするから




「雨の中を歩くのも気持ちが良いね。」




なんて言って笑いあった






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