空の涙

雨音

夏鳥の声







雨は空が流した涙なんだって




そう言って君は

この梅雨空を見上げる




みんなの悲しみや苦しみ、悔しさや寂しさが

空気に溶けて

それが空へと昇って

たくさん溜まって溢れることで

雨となってこの世界を濡らすんだったら




空を泣かしているのは私たちなのかもね




そう言って切なそうに笑う君が

雨に濡れて輝く紫陽花のように

とても綺麗に見えたよ




この空を泣かしているのは確かに

僕たちかもしれない



でも

悲しみや苦しみを背負った空の涙に

濡れながらも懸命に生きる君が

悪いなんてことは全くなくて

君は君のままで良いんだよと

言いたいんだけど

上手く言えそうにないから




「一緒に歩いていこう、この美しい雨の中を。」




なんて言って笑いあった





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る