第8話 痛み

 最高の理解者なんて紹介してほしくない!

 ここから帰してほしい。

 殺さないでほしい。


何度も。何度も。何度も泣きながら懇願したのに。


冷たい刃先が肌を滑る。

それが怖くて、息をのむ。

その時の体の動きで刃先に血が付いた。


ぷつり。


そんな音はしていないのにそう感じた。

そのままゆっくりと刃が皮膚を裂き、肉を切る。




痛い。

痛い。

痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い!!


どうして。なんで。

痛いよ。

助けて。

誰か。

誰か、助けて……。


痛いよ。


寒いよ。


怖いよ。


もう。


やめてよ。



嫌だ。


来なければよかった。


ただ、友人が心配で訪れただけなのに。


何がいけなかったの。

教えてよ、神様。



どんどん凍えていく身体と違って流れる血が暖かい。


じわり。じわり。

と、意識が、目の前の友人が薄れていく。


たくさんの蝋燭(ろうそく)の中でぬめりと輝く液体。


命の水が失われていく。


痛みも怖さも意識も失われていくのに。


ただ、凍えるような寒さだけが……。



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