第7話 期待

期待していた。父も、母も、恋人も、見知らぬ誰かも、皆ダメだった。でも、目の前にいる長年連れ添った友人なら。と、思った。

肉親でダメなことを負わせるのは他人には荷が重すぎる。そう思った。だが、どこかに必ず理解してくれる“人間”がいるはず。だって世界は広い。そこに住む人も多い。だったら、見つかるはずだ。肉親には無理でも。一人くらいいるはずだ。

だから。

親友と呼んでもいいだろう“人間”になら理解できると思った。

たくさん。

たくさん。

たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たくさん。たっくさん。


期待したのに。


浮かない表情をする。


どうして?

どうして。

どうして。


どうしてそんな顔をするの?

理解してくれないの?


どうして?

こんなにも君を思っているのに。

なぜ理解してくれないの?

どうして顔を引きつらせるの?

どうして泣きそうな顔をするの?

どうして?


友人の真っ黒な瞳にゆらゆらと蠢(うごめ)く灯が見える。


どうして?

こんなにも君の瞳は美しいのに。

どうしてその瞳で見てくれないの?

本当の姿を理解してくれないの?

なぜ目をそらすの?

どうしてその瞳に映してくれないの?

いけない子なの?いけないことなの?


人を愛することは。

人に理解してもらおうとすることは。

ねえ。

こっちを見てよ。

本当の姿を見てよ!

全部を受け止めてよ!!




もういい。

いいよ。

理解してくれないならそれで。

 また探せばいい。

 本当の自分を受け入れてくれる人を。愛してくれる人を。支えてくれる人を。守ってくれる人を。理解してくれる人を。

 

 そう、最高の理解者を。


ああ。そうだ。

友人は最高の理解者になれなかっただけ。

でも、愛している。


だから。

だから。



ずっと一緒に暮らそうね。


ずっと。ずっと。

永遠の愛をそのままに。

君の美しさをそのままに。


受け入れてくれなくてもいい。


君があそこにぶら下がっている“モノ”と同じになった時、君の時間は止まる。

受け入れてくれないのにずっと一緒にいてくれる存在に。

完璧な愛情表現の究極の姿に!

本当は受け入れてくれる存在のほうが嬉しいけど。一緒にいてくれるだけでもいい。


さようなら。


そしてようこそ。


探していた存在でなかったのは残念だけれど、ぶら下がっていればいつか見られるよ。

絶対に紹介してあげるからね。

最高の理解者を。

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