また夢の中の夢
気がつくと、更衣室にいた。今日は宗一君とプール。私はこのパーカーと短パンの下に水着を着ているのだ。
ああ、この夢、見たことある。
なんとなく安堵感と私は覚える。
服を脱いで水着姿に。ビキニは白基調のビキニだ。今日の私は、冒険したのだ。
なんとなく更衣室の空気が変わったのを感じる。そう女同士でもお互いが着ている水着は気になるものなのだ。
私は大きな鏡で自らの姿を確認すると、恋人の宗一君が待つプールへ向かう。
淡い光が私のことを出迎えてくれる。
……いいのかなぁ? 私。これで。
そろそろ覚めた方が良くない……?
夢を見るという目的は果たされたんだし……。
水着姿はやっぱり恥ずかしいよ……。
でも、宗一君、告白してくれたんだよ……。
せいいっぱい告白してくれたんだよ……。
だったら、いいよね……。
水着姿ぐらい、見せちゃっても別にいいよね……。
それに、宗一君も私の水着姿を『見たい』って言っていたし――。
――――よし。
私は夢にGOサインを出し、光を抜け、宗一君の待つプールへ向かう。
「宗一君!」
「うぉ、りーな!」
プールで私たちは顔を合わせる。宗一君は私の姿を見て驚きの声を上げた。私は宗一君のことを見る。宗一君は黒のショートパンツでシンプルだ。色的に似合っているかな、宗一君そのものにも。そこに私を含んでみても。
そして、ふふふ、驚いてる驚いてる。飛び上がって驚いている。作戦は大成功。私の心も充たされた。
私は宗一君のそばまできて腕を軽く取る。そして言った。
「泳ぎましょ」
「あ、ああ」
まだ驚いた様子の宗一君を一派って私たちはプールへ。次は腕を絡ませたい、かな。いいたいことはたくさんある。やりたいことも、たくさんある。
さあ、言うぞ! さあ、さあ、さあ!
ところが次第に視界が遠くなりかすんでいく。夢の終わりが近づいているんだと私は悟る。
それは残念。すごく残念。だけど私にはこの夢でやらなきゃいけないことがあった。それはたぶんかなえられたと思う。だからこれで、いいんだ。ちょっと残念だけど。……。
……。
そしてりーなは目を覚ました。
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