第二章 覚めない夢の物語

またの日の 夢物語

 ――気がつけば洞窟に宗一と二人でいた。

 周りにはテレビゲームに出てきそうなモンスターがたくさん。囲まれている。私はそれを察知する。


「どうする?」


 鎧を身にまとった宗一が尋ねてきた。どうするって、この状況をなんとかしなくちゃ!


「当然! 二人で切り抜ける!」


「了解!」


 私と宗一は剣と剣をカチンとぶつけ合う。共闘の証だ。


「では、この化物どもを一掃しますか」


「ああ」


 私が言うと宗一はそう答え、両手剣を振るって真っ正面から敵に突っ込んでいく。私はその背後を守りながら近づく敵に一撃、二撃と双剣を振るう。時に回転して敵を切り刻む。自分でもこんなことできるなんてびっくりだ。だけどこれは……。


「狙われてるぞ!」


 その声にハッとなる。一体のモンスターが背後から私に飛びかかろうとしていた。私は前方にステップして逃げる。そこはちょうど巨大モンスターの目の前。食いちぎられる! と思ったその瞬間、そのモンスターが、両手剣で潰される。宗一の放った一撃だ。


「サンキュ!」


 私は言い、体勢を立て直す。宗一もこちらに駆け寄り背中を守ろうとする。さあこれからだ。そう思ったそのときだった。私が、いや世界が揺れたのは。


 ドンガラガッシャーン!


 大音響と衝撃。何かにぶつかった感じがして、世界そのものが大きく軋んだ。そして、ガガガガガと大きな音を立てて洞窟が空間ごと割け、その裂け目がモンスターや私を飲み込んでいく。もちろんそばにいた宗一君のことも。


「きゃあ!」


「うわわ!」


 私たちは離ればなれになって、それぞれ裂け目に吸い込まれていった。


「……」

「……」

「……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る