エロ本収集家、バイトを辞める
「え?マジかよ?」
「ああ、俺はこの高校を変える」
教室が騒がしい。そして、なにやら大きく出たな。今日は珍しく始業5分前に登校した殊勝な俺だが、早めに教室に入れば革命児に出会えるのか。その革命児は……野江だ。
なんだ、野江かよ。どうやら、生徒会長に立候補するらしい。そして、創立して以来ずっと続くアルバイト禁止の校則を撤廃する計画を立てており、それがスローガンなのだそうだ。表向きは、学業のみでなく社会経験も学生のうちに積んでおくべきであるという考えに共感する、といったところだが、まあ俺も含めてクラスの半分くらいは隠れてバイトをやっているので、その支持率はかなり高いだろう。俺も支持さぜるを得ない状況なので、選挙ではほぼ確実に野江に投票するだろう。
そういえば昨日、テレアポのバイトを辞める旨を告げた。なので次の職場を探さなければならない。
辞める際には直に伝えた方が良いと思い、シフトが入っていない日だったが会社に赴いた。事務の人に山崎さんを呼んでもらうように伝えたら、山崎さんは今週から別のオフィスに出向したのでもういないと言われた。出向ってなんだ。特に引き留められはせず、それどころか、わざわざ来なくても電話で良かったのに、というような反応をされた。まあ、アットホームな職場とかいうものではないことは十分に理解した。
ソータには、予想通りの勘違いをされていた。メイドカフェに行った翌日の第一声が「おまえ、島本と付き合ってんの?」だったのだ。
まあ、こいつにはエロ本の件がバレても構わないので、それまでは言わなかった一部始終を説明した。これも予想通り、大爆笑された。「さすがプロエロ本収集家!ぎゃははは!」おい、声がでかいぞ。全く。ソータに話したということはつまり、ヨドもこの秘密を知ったということだ。別にいいけどさあ。
生徒会長選挙は、2月の末に行われるのが例年の日程だ。まだ先のお話だな。その前に、我が校の入学試験がある。そして、入学試験当日は、俺たち在校生にとっては、貴重なお休みなのである。まあたぶん、お馴染みの地元のジャンカラに集まるのだろう。
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