第426話 VS蚩尤(その13)

ハーミア「私、・・・ばつに進化出来るわ!これって、巡り合わせ。私が解決する運命なのよ。」


サクラ「ちょっと待って。ばつの話には続きがあるの。」


ハーミア「どんな話?」


サクラ「ばつは体内に大量の強力な熱を蓄えている。その熱は余りにも強力過ぎて、自分で調整出来ないのよ。蚩尤しゆうを倒した後、黄帝こうていばつの処遇に困った。何故ならば、彼女がそこに居るだけで旱魃かんばつを引き起こす。彼女の居場所は無くなるの。それで一生山に幽閉されるのよ。」


ハーミア「正義のために死すとも悔いはないわ。幽閉されるぐらい何てことない!私は南の王国の民に犯した罪を償う必要があるの。」


サクラ「ちょっと待ってよ。進化しても灰色の霧に対応できる保障は無いのよ。」


ハーミア「それは理解してる。でも可能性があるなら賭けるわ。それに日照りって言うくらいだから亜神なんでしょ。強くはなるはず。戦いの後、孤独になろうとも進化するわ。このまま手をこまねいて待つなんて堪えられない!」


サクラ「う~ん、そこまで言うなら、もう何も言わない。」


「ハーミア、お前の気持ちは分かった。だがここでは進化しないでくれ。この地が旱魃かんばつになったら困る。」


俺とハーミアは砂漠地域に転移した。


砂漠地域の領主アンナも一緒だ。


砂漠地域で人が誰も住んでない地域にきた。


ハーミア「ここなら大丈夫ですね。」


アンナ「多分ね。ばつの能力が分からないので、確かではない。」


「どんな影響があるか分からないので、もし、能力を少しでも調整出来るなら最小にして欲しい。」


ハーミア「分かりました。」


ハーミアは日照り神であるばつに進化した。


ばつ

黒髪の女性。薄手の白い着物を着ている。足が1本。手も右手1本だけ。


ハーミアは1本足で立っていた。


ハーミア「身体の芯が熱い。」


辺り一面にあった僅かな草が一瞬のうちに枯れた。


「凄く暑くなったな。」


ハーミア「そうですね。私は心地よい。多少は調整が出来るみたいです。今の状態が最少です。」


「そうか。雨が降ることはないので。ここで待っててくれ。灰色の霧が出たら召喚する。取敢えず椅子は出して置くので、座る事は出来るだろう。後は、ダンジョンの中に居る方法もあるかもな。バズに念話で相談して、ダンジョン内に移動しても良いよ。」


ハーミア「分かりました。この身体の能力を確認しながら、召喚されるのを待ちます。」


勇者ハーミアが日照り神のばつに進化した。


スラオに少量持ってきて貰った神気が含まれた灰色の霧を、ハーミアの日照の能力は一瞬で消し飛ばした。


水分を蒸発させて神気だけ一瞬漂う。


そんな感じだ。


これで灰色の霧も対応できる目処が立った。


そんな時、スパから念話が入った。

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