第425話 VS蚩尤(その12)

レイ「魔法が阻害されて効き目が悪いです。一旦引きましょう。」


「そうだな。しかしこの霧を何とかしないと次も同じだ。スラオ霧を収納出切るか?」


スラオ「少しなら。」


スラオに霧を少量影収納して貰い転移した。


俺が転移した直後、蚩尤しゆう酋矛しゅうぼうが俺の居た空間を突き抜けた。


蚩尤しゆう「逃したか。次は無いぞ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は世界樹前に転移した。


レイが俺に最高の回復魔法をかける。


俺の身体の傷は治り、完全回復した。


目の前には、傷付いた仲間達がいた。


レイが回復していたが、項垂れ地面に腰を降ろしている。


ライゾウだけは仁王立ち。


デルガ、デステル、ヴァンスは腕を組んでいたが、俺が転移してきたのを見て跪いた。


応龍のハク、魔女のサクラ、吸血鬼真祖のヒナ、不死王のルシー、麒麟のコボミ、霊亀のリザ、鳳凰のハピ、悪魔バエルのスパ、天使のアリア、俺の妻達が心配して来ていた。


ハク「大丈夫?」


「怪我はレイに治療して貰ったので問題ない。」


ハクは俺に抱きついてきた。


ヒナ「初めての敗北ね。」


「そうかもな。」


ルシー「あの霧は厄介ね。」


「うん。対処の方法が見つからないうちは攻撃出来ないな。」


ヒナ「サクラ、霧について何か知ってる?」


サクラ「スパの念話で見ただけでは、効果や内容は良く分からないけど、異世界転移する前の中国の伝説にも似たような話はあったわ。」


ヒナ「え、本当!」


サクラ「黄帝こうてい蚩尤しゆうを破った涿鹿たくろくの戦いでは、指南車を使って霧の中を進み、角笛の響きで敵を怯ませて倒したはず。」


ヒナ「指南車を作れば良いのね!」


サクラ「指南車は霧の中で、何処に蚩尤しゆう軍がいるか指し示すだけだから、霧の中で戦いになった場合の対処方法とは言えないわ。」


「そうだな。蚩尤しゆうの居る方向だけ分かっても、倒せるかどうかは分からないね。」


ヒナ「他には何か無いの?」


世界樹の前。


蚩尤しゆう軍に破れた仲間達と俺が転移で戻ってきた。


俺の妻達が心配して来てくれた。


そこで蚩尤しゆう軍の灰色の霧の対応についての話となった。


サクラが黄帝こうてい蚩尤しゆうの戦いについて、中国の神話の中からヒントになりそうな事がないか思い出していた。


サクラ「そう言えば、風伯と雨師に対抗するため、黄帝こうていの娘であるばつを呼んだ話があったわね。」


ヒナ「バツ?」


サクラ「ばつは、日照り神の名前ね。」


ヒナ「ヒデリガミ?」


サクラ「旱魃かんばつを起こす神よ。ばつが雨師の雨を止めた事で黄帝こうていは勝利したと言う話もあるわ。」


ヒナ「旱魃かんばつで雨を干上がらせるのねー。だったら霧も干上がるかもねー。」


そこに勇者ハーミアが駆け寄ってきた。


ハーミア「今の話、本当!」


サクラ「伝説の話よ。事実かどうかは分からないわ。」


ハーミア「でも可能性はあるのよね。」


サクラ「可能性はあるでしょうね。」

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