第412話 難民(その4)

「ちょっと待って。ウィーラ! 此方に来て。」


ウィーラ「なんじゃ。」


ウィーラも俺の妻の一人。

龍脈に魔女と言われていた。きが遠くなる程長い年月、現在魔法国にある龍脈を守ってきた。その龍脈も四霊獣結界で封印している。


「ウィーラの龍脈を貸してくれ、迷宮内に置きたい。」


ウィーラ「妾の物と言うわけでは無いがな。囚われていただけじゃ。神託をした神も亡くなったし、使っても問題は無いのじゃ。」


俺はウィーラにも難民問題の迷宮利用と、サクラと話した内容を説明した。


そして、バズとウィーラには小国群西部にある、現在難民受け入れをしている迷宮の管理を任せる事にした。


「先ず、バズが現在の迷宮から管の様に細い洞窟を、龍脈まで伸ばすんだ。龍脈を迷宮内に取り込めば、大量のDPをどんどん取得出来る様になる。そうすれば、サクラやヒナの様に大きいトンネルを作れる様になる。トンネルはヒナとサクラに聞いて同じように作ってくれ。」


バズ「分かりました。」


「その後は現在管理しているアマゾネス国のヒポリュテと会話して進めて欲しい。モリー公爵軍との戦場跡地に作った、迷宮の難民キャンプは地下に移動。増え続ける難民は全員受け入れる。増えた分だけ迷宮をどんどん広げて行くんだ。食料は穀倉地帯のガラード地域から、南西地域を経由して輸送する。ヒナのダンジョン転移でガラード地域から南西地域へ。バズのダンジョン転移で南西地域から難民キャンプに運べば、輸送の時間は極端に短縮出来る。」


南の王国から逃れてくる難民達の問題は、ダンジョンで解決する事として、妻達に丸投げした。


次は南の王国の状況と蚩尤しゆうの動向確認だな。


「スパ、南の王国の状況は掴めたかい?」


悪魔バエルのスパはアラクネエンプレスから進化したので、アラクネ時代の小蜘蛛による監視が使える。


小蜘蛛による監視の網を樹海帝国中に広げているが、その監視の網を南の王国にも伸ばしている。


スパ「まだ、南の王国の北部に侵入したところで、全体には至っておりません。」


「そうだよね。そんなに早くは展開出来ないか。」


スパ「そうですね。ただ、傾向は掴めました。」


「傾向?」


スパ「どうも南の王国中央部最南端から、魑魅魍魎達が涌き出てるみたいです。その辺りから魑魅魍魎達が進んでくる様です。」


「成る程。その辺りに南の王国の龍脈があって、蚩尤しゆう達もいるんだろうな。」


スパ「その龍脈に近付くごとに、都市は荒れ果て魑魅魍魎の数も増えていく為、小蜘蛛の侵入も難しくなります。その事により時間がかかりそうです。魑魅には小動物の者もおり、虫を食べる者も多いので、小蜘蛛が殺されるケースが増えます。」


「時間が掛かってもしょうがない。出来るだけ被害が少ない様に進めてくれ。」


スパ「南の王国にはまだまだ国民が残っています。これからますます難民は増えていくでしょう。タキーダ辺境伯軍やオーダン侯爵軍が進軍したルートから、難民が逃れて来ています。」


「サクラとヒナに伝えて、そのルート上で受け入れ出来る様にして貰おう。」


スパ「それは既に伝えてあります。」


「おう、有難う。防衛線もそのルート上に展開した方がいいな。」


スパ「はい。」

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