第410話 難民(その2)

庇護を求めて逃げてくる罪の無い人達を拒絶するのも可哀想だし、攻撃するのは問題外。


かといって、大量の難民を無制限に受け入れる事が出来るか分からない。


だが、アマゾネス国の女王ヒポリュテがバズのダンジョンを利用して難民を受け入れていた。


良い方法だと思う。


ただし、これも今後増えていく難民に対して何処まで出来るか未知数だ。


我が国のダンジョンマスター3人と樹海帝国城のリビングで相談だ。


いつものこのリビングには、妻がほぼ全員いるので、呼ぶのはバズだけだ。


異世界転移者で吸血鬼真祖のダンジョンマスター、妻の一人ヒナ。


同じく異世界転移者で深淵の魔女のダンジョンマスター、同じく妻のサクラ。


そして南の王国の迷宮『千尋の洞窟』で眷属にした、ダンジョンマスター魔神パズズのバズ。


「バズ、ヒポリュテの難民受け入れの状況はどうだ?」


バズ「今のところ順調です。」


「難民は日々増加している様だが、今後の見込みはどうだ。」


バズ「増加が多すぎるので、その内飽和するでしょう。」


「そうだよね。ダンジョンだけでは限界があるよなぁ。帝国でもバックアップしないとね。」


サクラ「でも小国群は砂漠が間にあるでしょう。輸送に問題があるのよね。」


ヒナ「そうねー。普通に陸路で輸送だったら、期間もかかるし運べる物も限られるねー。樹海帝国の食料庫と言えば、広大な農地を誇るガラード地域でしょ。そこから運ぶのは遠いよね。飛竜便で運んでもいいけどー。飛竜便自体が樹海帝国では不足気味だからねー。」


「ダンジョンのスキル、迷宮転移で運んだらどうだい?」


サクラ「うーん。細い管みたいな通路を伸ばしてガラード地域と繋げて、迷宮転移を使うのは有りと言えば有りだけど。DP《ダンジョンポイント》が持つかな? 距離と量によって必要なDPは多くなるわ。」


ヒナ「私の迷宮なら世界樹が有るから、DPは全く問題無さそうだけどね。」


「世界樹があちこちにあれば良いけどね。・・・。龍脈って迷宮にあるとDPを沢山取得出来るかね。」


サクラ「成る程。それはいい考えかも。ヒナ、どう? ヒナの迷宮ってウィーラの迷宮とシルミル地域にある召喚の間の龍脈も入ってるよね?」


ヒナ「世界樹が凄すぎて良く分かんないな。」


「今、サクラのダンジョンコアはフリーだから、竜王山の龍脈に、サクラの迷宮を作ってみたら分かるんじゃない?」


サクラ「成る程。それは直ぐ出来るからやってみよう。」


「良し、ちょっと転移して試してみよう。」


スラオに影転移で俺とサクラが、四霊獣結界で封印した竜王山の龍脈に転移した。


竜王ドラシルが封印の前で座っていた。


「よう!ドラシル、龍脈をちょっと使うよ。」


ドラシル「へ、陛下、お疲れ様です。

どうぞ、ご使用下さい。」


ドラシルは横に退ける。


四霊獣結界を張っている応龍のハクと麒麟のコボミ、鳳凰のハピ、霊亀のリザのそれぞれの分身体がいる。


「ハク、封印に入るよ。」


ハク「どうぞ。」


俺とサクラは竜王山の龍脈に来ていた。

皇后である応龍ハクの分身体にことわり、四霊獣結界の中に入る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る