第409話 難民(その1)

アンナ「南の王国の兵士達のほぼ全てが、樹海帝国に進軍してきたところを、我が樹海帝国が撃退しました。その為、都市の防備は不十分となり、魑魅魍魎を撃退出来無い様です。


何とか衛兵が進撃を食い止めている都市もあります。しかし村や町レベルでは対応できないところが多いです。その為、魑魅魍魎達が来る前に家財道具一式を持って難民となっています。難民達は北上しています。雪崩のように北へ北へ進んでいます。恐らくは、小国群に庇護を求める難民は時間がたつ程爆発的に増えるでしょう。」


「南の王国全体の話なのかね。」


アンナ「それは分かりかねます。

私の眷属は以前陛下がお忍びで行った、南の王国の西部にしかおりません。」


「そうだったね。スパと手分けして至急南の王国について全体の状況を監視してくれ。」


アンナ「承知しました。」


「樹海帝国で南の王国と隣接してるのは・・・。ヴァンスの国と有翼人国、アマゾネス国、大自然南部、大自然西部か。」


スパ「小国群は現在殆ど全てが樹海帝国の属国です。」


「え!そうだっけ?ヴァンスの国とアマゾネス国、有翼人国。それから、以前南の王国のモリー公爵軍と一緒に戦ったサルダス国、サウナバ国、サムルド国の3国。これらは知ってるけど、他はいつの間に属国になった?」


スパ「アマゾネス国女王ヒポリュテが小国群を平らげました。」


「おや、こんな短期間に凄いね。」


スパ「いや、ヒポリュテが凄いのではありません。度重なる戦禍で疲弊しきった小国群の各国が、ヒポリュテに助けを求めて、こぞって属国にして欲しいと嘆願したのです。」


「アマゾネス国に他国を支援するような物質は余分に無いでしょう?」


スパ「陛下が入手した『千尋の洞窟』をフル活用した様です。モリー公爵軍をダンジョンの上で殲滅した時に大量のDPダンジョンポイントを取得出来ました。そのDPで難民受け入れ用の建屋と食料を準備しました。更にその戦場に難民を受け入れ、難民が留まる事で日々DPが貯まります。そのDPで日々の最低限の食料を得ています。そして難民キャンプと化したダンジョンの下に狩り用のダンジョンを構築して、難民の中で強者は冒険者として仕事も得ています。」


「成る程ねぇ。ダンジョンで難民を受け入れるのは、いいアイデアだ。その方向で、今後の難民受け入れをしようか。」


樹海帝国内から蚩尤しゆう軍を追い払ったが、今度は南の王国から難民が流れて来る問題が発生した。


蚩尤しゆう軍に対する防衛もする必要があるし、難民は日毎に増加する一方らしい。


南の王国の動向も気になる。


雷公ライゴンの撤退時に言った台詞『計画は順調だ。時間は随分稼がせて貰ったよ。』も気になる。


だが、喫緊の課題『難民問題』の解決が優先か。

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