第390話 VS渾沌(その5)

そこにヴァルキリーのスクルドが現れた。


スクルド「すいません。陛下の一撃を見せていただきました。渾沌コントンに攻撃が通るのですね。私も眷属にしてください。自分の手で仇を討ちたいんです。」


「なるほど、気持ちは分かる。だが、一度眷属になれば一生俺の配下に入って貰うぞ。覚悟は出来ているか?」


スクルド「問題ありません。渾沌コントンをこの手で倒せれば良いのです。その為に生きてきました。

討伐後は陛下にこの身を捧げます。」


「分かった。・・・テイム!」


スクルドは俺の眷属になった。


スクルド「おお!力が一気に増えました!」


「それが、俺の眷属になった証だ!

この槍を下賜かししよう。」


俺はアイテムボックスから聖槍なんちゃって『ロンギヌスの槍』をスクルドに与えた。


ロンギヌスの槍。

地球ではイエス・キリストの死を確認するため脇腹を指した槍だ。


そんな物がこの世界にあるはずがない。


樹海帝国の技術の粋を集めて神殺しの武器を作ったのだ。


スクルド「こ、これは!!聖槍!」


「そうだ。それで渾沌コントンを殺せ!」


スクルド「はっ!この聖槍で必ず!」


勇者ハーミアも俺の前に跪き、お願いする。


ハーミア「私も眷属にしてください!そして渾沌コントンを倒す力を下さい!」


「断る!」


ハーミア「え!今の流れは、『しょうがないなぁ』って言って、私を眷属にして聖剣をいただけるパターンでは?ここで私が渾沌コントンを倒さないと、勇者の伝説が成り立ちませんよ。」


「そんなの知らん。だって俺が魔王で、悪の根元なんでしょ?どの面下げて俺にお願いするかなぁ。勿論、全部見てたからね。


そもそも、俺の眷属だったけど、あまりにも礼儀がなってないので、眷属を首になったんだぞ。反省してそこで、見てなさい。」


ハーミア「ふぇええええ。」


ハーミアは泣き出した。


俺はヴァンスを向いて確認する。


「ヴァンス、俺と渾沌コントンの戦いは見てたかい?」


ヴァンス「念話でバッチリ見てました。」


「なら言うことはない。スクルドと息を合わせて渾沌コントンを倒してくれ。」


ヴァンス「承知しました。」


渾沌コントンが起き上がった。


ヴァンス「スクルド、お前はその聖槍で物理攻撃を任せる。」


スクルド「分かりました。」


ヴァンスとスクルドは飛翔する。


スクルドの聖槍の突き、払いに合わせて、ヴァンスの魔法が火を吹く。


初めは息が合わなかったが、何度か攻撃するうちに段々息も合ってきた。


スクルドの聖槍が突き刺さり、ヴァンスの魔法が当たる度に渾沌コントンは傷付く。

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