第389話 VS渾沌(その4)

俺は念話でスラオとムラマサに話しかける。


(スラオ、俺がムラマサで斬撃を放つ。

それに合わせて全く同じタイミングで魔法で攻撃してくれ。)


スラオ(了解。最凶の魔法、放つ。)


俺は、右足を半歩前に出し、腰を若干落とす。


膝を曲げ、ムラマサの柄を握り構える。


重心を後ろ足の爪先に移す。


神経は研ぎ澄まし集中。


身体の力は抜いて、軽くリラックスするように脱力。


渾沌コントンは構わず歩いてくる。


居合いの間合いに入るのをじっと待つ。


瞬きをせず、渾沌コントンを注視。


渾沌コントンはゆっくり歩いて居合いの間合いに・・・入った。


電光石火の踏み込み。


ムラマサの刃が煌めく。紫電一閃。


全く同時にスラオは身の毛がよだつ不気味な漆黒の呪炎を放つ。


闇より深い漆黒の禍々しい呪いの炎。


渾沌コントンの周りの空間は透明な薄紫に変わる。


漆黒の呪炎はかき消えた。


ムラマサの斬撃が渾沌コントンを斬る。


渾沌コントンは飛び退いていた。


真っ二つにはならなかったが、胸に横一線の傷が一つ。


血は流れない。

傷の中には深淵の闇。


初めて渾沌コントンの歩みが止まる。


そして膝をつく。


口の位置にある深淵の闇の孔から、呪いの籠った呻き声が漏れる。


「スラオの呪炎を恐れて、ムラマサの斬撃を受けたか。スラオのあの炎は何?」


スラオ「最凶の魔法、漆黒の呪炎。」


「うはぁ。怖いなぁ。まあ、これで攻撃を通す方法が判明したぞ。俺以外でも倒せそうだな。」


ムラマサ「待て待て。漆黒の呪炎とただの居合い斬りを比べられて負けた気分だ。漆黒の呪炎は超伝説的な魔法だぞ。居合い斬りの方が攻撃力が低いに決まってるだろ。次は『天之尾羽張あめのおはばり』で勝負だ。」


ムラマサとスラオの連携で渾沌コントンに攻撃を通す方法が判明した。


渾沌コントンは物理攻撃無効の空間と魔法攻撃無効の空間を、自分の周りに展開することが出来て、相手の攻撃の種類により瞬時に切り替える。


物理攻撃と魔法攻撃を同時に放つことにより、どちらか一つしか防御出来ず、どちらかがヒットする。


俺とオニバル、バズ、ハーミアが渾沌コントンと対峙する。


そこに吸血鬼真祖のヴァンスが・・・。


あ!悪魔に進化してるよ。


ヴァンス「ちょっと待った!俺の眷属達が渾沌コントンに弄ばれた。仇を討たせてくれ。その為に悪魔に進化した。」


「分かった。任せる。」


ムラマサ「え!俺とスラオの決着はどうなる?」


「『漆黒の呪炎』か『天之尾羽張あめのおはばり』のどちらかがヒットすれば渾沌コントンを殺しちゃうよ。


ヴァンスはかなり怒ってるし、眷属の仇を討たせてあげようよ。


それに眷属に倒させて経験値稼がせた方がいいじゃん。」


ムラマサ「ぐぬぅ。」

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