第381話 VSハーミア(その1)

アンデットと精霊が来ていない戦場には、空から吸血鬼達が襲う。


ヴァンスの眷属である吸血鬼の兵士は軽鎧を装備し、蝙蝠の翼で飛び回る。


空から剣で切り裂き、槍で突き抜く。


高速で飛び回る吸血鬼達に手が出ず。


次々と討たれていくオーダン軍の兵士達。


最後にオニバルとバズが、ステラド軍、魔法兵団、アンデット、精霊達、吸血鬼達が討ち漏らした兵達を殲滅していく。


剣神オニバルの一刀両断の剣技。


兵士は左右または上下に斬り払われていく。


バズの風の刃で細切れにされていく兵士達。


地獄の様な光景。


ヴァルキリーのスクルドは好機と判断し、周りにいたヴァルキリーの戦士達と共にオーダン軍の本陣に突き進んだ。


本陣を防衛する屈強な兵士達に雷撃を放ち。


槍を突き刺し。振り飛ばす。


オーダンの姿を捉えた。


スクルド「オーダン!」


スクルドは叫ぶとオーダンに槍を持ち飛びかかった。


槍を弾きオーダンとスクルドの間に割り込む戦士。


その姿、その女は・・・。


スクルド「は、ハーミア?!」


両手持ちの聖剣を中段に構えるその姿。


全身聖鎧に身を包み神々しい程の偉容。


アマゾネス国の元王女ハーミア。


オーダン「勇者ハーミア!我が国の兵士達は魔王の軍勢に風前の灯。希望の明かりは貴方だけだ。勇者の名において悪を倒してくれ!」


ハーミア「承知した!魔王ヒロトに味方する者には正義の鉄槌を下す!」


スクルド「ハーミア!騙されるな、オーダンこそが悪だ!」


ハーミア「スクルド、罪のないミレースの民達を殺した事を知ってるぞ!見損なったよ。正義のヴァルキリーだと思って尊敬していたが、この大陸の支配を目指す忌まわしい魔王ヒロトの片棒を担ぐとはな!」


スクルド「何を言っても無駄か、私も王家と愛しい人の仇を討ちたいのでな。許せとは言わない、お前を殺してでもオーダンを倒す!」


ハーミア「スクルドこそ騙されてる!平和だったこの大陸を恐怖に陥れた、大陸制覇間近の魔王ヒロトに騙されてるんだ!人類の希望はこのオーダン軍にしか残されていないのだ!」


樹海帝国軍は後少しで倒せるところまでオーダン軍を追い詰めていた。


オーダン軍本陣に攻め込んだヴァルキリーのスクルド。


その行方を妨げたのは、アマゾネス国元王女ハーミア。


ハーミアは勇者に進化していた。


『樹海帝国皇帝ヒロト』俺の事だけど。


俺を大陸を征服する魔王と断定。


オーダン軍を正義の軍と思ってる。


悪とか正義とか無いんだけどね。


俺の仲間を襲う勢力は正義だろうと悪だろうと倒すのみだ。


「スパ、ハーミアはどうやって勇者に進化したんだと思う?相当多くの経験値が必要だと思うんだけどね。」


スパ「恐らくは・・・、南の王国と小国軍のオーダン軍と敵対勢力とその民達を大量に殺したんでしょうね。その上で巨人や神獣等の経験値が多い者を倒したぐらいしか思い付きません。」


「そうだよなぁ、あの時の強さで巨人や神獣は倒せないものな。弱い敵を大量に倒してレベルをあげてから更に倒す以外に無いよね。」

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