第351話 迷宮都市ラビリス(その9)
「グレイア、アキルイの商会の移転は任せる。ヴァンスの国とアマゾネスの国の中間に新しく迷宮都市を作って、そこにダンジョンを移転する計画だ。サクラとヴァンス、ヒポリュテには既に計画を実行して貰ってるので、3人と協力して進めてくれ。」
グレイア「承知しました。」
「アキルイ、これから色々やって貰う事もあるだろうから、俺の眷属になって欲しいのだが、どうかな?」
アキルイ「眷属!グレイア様に眷属の話は伺っていました。是非にお願い致します。」
アキルイを眷属にする。
「テイム!」
<アキルイをテイムしました。>
頭の中にメッセージが流れる。
アキルイ「おおおお、力がみなぎります。これが眷属の力なのですね。」
グレイア「そうよ。これからはヒロト様の為に働きなさい。」
アキルイ「畏まりました。」
吸血鬼真祖ヴァンスとアマゾネス国女王ヒポリュテは新しい迷宮都市の移転場所を決定。
ヴァンスの国とアマゾネス国の境界とした。
ダンジョンマスターである魔女のサクラは、同じくダンジョンマスターである魔神パズズのバズと一緒に千尋の洞窟を移転。
そのダンジョンの上に新しい迷宮都市をサクラのダンジョンコアで構築。
その後、都市はサクラからバズに譲渡されて、千尋の洞窟の一部となる。
その街並みは三つ目族の商人アキルイとヴァンス、ヒポリュテの相談結果を受けた都市計画に基づき作られた。
サクラは樹海帝国の各都市と同様に上下水道完備、広いメインストリート、公園を設置し近隣にはない環境の都市となった。
そしてアキルイの商会と宿屋も開業。
ヴァンスの国の吸血鬼眷属達やアマゾネス国の実力者や有翼人の国を始めとした近隣の国からも冒険者達が集まり、出来たばかりの都市とは思えない盛況を極める。
迷宮都市には、剣聖である樹海帝国の将軍オニバルの軍も常駐し、兵の訓練とレベ上げの為に千尋の洞窟を利用。
ダンジョンの素材を産出し、アキルイの商売も潤う。
この都市の領主はアキルイにお任せ。
上手いこと管理してくれるだろう。
ダンジョンポイントも以前とは比べようが無いくらい増加し、バズも大喜びだ。
大量のダンジョンポイントを背景に、素材が高く売れる魔物やレベ上げに効果大の経験値が多い魔物を計画的に配置し、千尋の洞窟の人気はうなぎ登りだ。
何しろ領主のアキルイとダンジョンマスターのバズ眷属同士である為、念話で会話自由なのだ。
御互いに利益が出るようにやりたい放題出来るからね。
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一方、千尋の洞窟が無くなった迷宮都市ラビリス。
まず、移転時に冒険者達が迷宮から吐き出される。
迷宮の出入口に多くの冒険者達が迷宮から強制転移された。
冒険者A「ここはどこだ!」
冒険者B「どうやら、迷宮の外のようだぞ。」
冒険者A「本当だ!どうなってるんだ。」
冒険者達は辺りを見渡し驚愕。
冒険者C「あ!迷宮の入口が無くなっている。」
冒険者D「え!そ、そんな馬鹿な。」
千尋の洞窟は迷宮都市から消えていた事を気付いた冒険者や入口にいた兵士達は領主や冒険者ギルドに報国に走る。
冒険者ギルドは大混乱の状態。
迷宮が無くなると明日からの仕事も無くなる。
ギルドは上位の冒険者達に調査を依頼した。
結果は迷宮が無くなった事が事実として確認出来た程度。
どうして消えたのか、その理由は永久に分からないだろう。
領主に報告に行った兵士達は呆然とする。
領主や他の兵士達も居なくなったのだ。
樹海帝国で軟禁中だからね。
迷宮都市ラビリスは一夜にして崩壊した。
売るための素材が迷宮から全く入手出来なくなった商会は撤退。
仕事が出来なくなった冒険者も撤退。
商人や冒険者を顧客としていた各種商店も商売にならないため、別の町に移転した。
あっという間にゴーストタウンとかした。
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俺達は樹海帝国皇帝の城、いつものリビングに戻っている。
「アンナ、ところで冒険者ギルドと領主の確執ってなんだったの?」
アンナ「どうやら、他の貴族が迷宮都市にちょっかいをかけていたようです。」
「冒険者ギルドはその貴族の意向で領主に嫌がらせしてたのか。」
アンナ「そのようです。行く行くは都市毎手に入れる計画だったようです。」
「冒険者ギルドって、そういうことから距離を置いてる組織じゃ無いのか。」
アンナ「組織自体はそんな理想を掲げてますが、個人はそうでも無い人がいるのでしょう。今回はギルド長が貴族と手を組んでたようです。」
「あちゃ、ギルド長がそんな事するって腐ってるね。」
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