第350話 迷宮都市ラビリス(その8)

ダンジョンマスターでもある魔女のサクラが『千尋の洞窟』のダンジョンマスター魔神パズズのバズにダンジョンの転移の方法を説明する。


サクラ「まずね、現在ダンジョンに放している魔物達を全てダンジョンポイントに変換してコアに戻すのよ。その後、この部屋を除いたダンジョンもダンジョンポイントに変換する。そして、ダンジョンコアを持って移転先にダンジョンを展開する。最後にこの部屋を埋める。それだけよ。」


バズ「それだけって・・・。」


サクラ「大丈夫、やり方は後で教えるわ。」


「ダンジョンをポイントに戻した時、ダンジョンに現在いる人達はどうなる?もしかして生き埋め?」


サクラ「大丈夫よー。ダンジョン外に転移で放り出されるわ。」


「なるほど。」


サクラ「この部屋を残すのは、この部屋までポイントに戻しちゃうと私達も冒険者達と一緒に放り出されるからよ。そんな事したら面倒よ。」


「そうだね。よし、移転はサクラに任せる。」


サクラ「ラジャー。」


サクラは右手を開いて額につける。


「ヴァンスとヒポリュテは転移先の選定ね。」


ヴァンス、ヒポリュテ「「承知しました。」」


「ダンジョンの上に町を作った方がいいな。バズ、ダンジョンの上にダンジョンポイントで町を作れるか?」


バズ「ダンジョンポイントで町を・・・?」


「分かってないか、サクラそれも頼む。」


サクラ「はいよー。まあ、ポイントが足りなかったら、私のダンジョンコアで町を作って譲渡するわ。」


バズ「譲渡?」


サクラ「詳しくは後で説明するわ。」

バズ「分かりました。」


サクラ「有難う。町の作成についてはヴァンスとヒポリュテ、後は後で紹介するアキルイと相談して決めてくれ。」


サクラ「了解。」


「ああ、後、当面ダンジョンポイントが順調に取得出来るまでは、オニバルの軍をダンジョン内に常駐させよう。オニバル軍のレベルならダンジョンポイントも相当入るだろう。ダンジョン内で軍の訓練も出来るしね。」


サクラ「了解。オニバルには私から伝えるわ。」


「有難う。サクラ宜しくね。」

サクラにチュッとキスした。


サクラ「アハ、早速移転しよっか。」

サクラはバズと一緒にダンジョンコアの方に歩いていく。


「ヴァンスとヒポリュテ、有難う。送還するので移転先は早急に決めてくれ。」


ヴァンス、ヒポリュテ「「承知しました。」」


ヴァンスとヒポリュテを送還し、小鳥の宿に戻る。


小鳥の宿ではグレイアがアキルイに説明し終わり待っていた。


ブラリリも街から戻り待っていた。


「ただいま。」


グレイア「お帰りなさい。説明は終わりました。」


「有難うグレイア。早速この町を引き上げよう。アキルイ、貴方の商会は何処かの町にあるのかな?樹海帝国に来るときに全て転移させよう。」


アキルイ「え、転移。」


「うん。アキルイはこれから小国群のとある国に新しく作る町に移って貰う。その町に千尋の洞窟も移転するんだ。」


アキルイ「そんな事が可能なのですか?」


「可能だよ。千尋の洞窟は今日中にこの街からなくなるね。迷宮が無い迷宮都市になっちゃうよ。」


アキルイ「うは、そうですか。商会は幾つかの町にあります。実はこの都市では、新しく進出する手始めとしてここ『小鳥の宿』を作りました。」


「ほほぅ。小鳥の宿はアキルイの店だったんだね。」

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