第336話 千尋の洞窟(その10)

騎士隊の一人が不用心にダンジョンの扉を開けた。


扉の中からオークソルジャーが斧振り上げ騎士隊に突進してきた。


その後ろにもオーク達の群れ全部で10匹。


騎士「モンスタールームだ!」


今までは襲ってきた魔物達は多くても5匹。


何とか倒してきたが倍の10匹は騎士隊達には荷が重かった。


しかも油断していた時の奇襲。


扉を開けた騎士が先頭のオークソルジャーの斧で頭を潰された。


即死。


姫「盾を構えろ。」


前にいた騎士達2人が重盾を前に出す。


オークソルジャー達の斧を辛うじて受け流す。


が、体勢を崩していた。


オークソルジャー達はそのまま肩から当たってきて、騎士達は吹っ飛ばされた。


後ろにいた騎士達と姫も、吹っ飛ばされた騎士達により体勢を崩す。


オークソルジャーの斧が騎士達に迫る。


姫は体勢を直ぐ立て直し、無理矢理突っ込んできたオークソルジャーを大剣で草薙にした。


騎士達とオークソルジャー達の間に立ち大剣を構える。


オークソルジャーを睨んだまま後ろの騎士達に叫ぶ。


ラブリル「体勢を立て直せ!前衛は盾を構えろ。後衛は魔法を詠唱!」


後衛の二人の騎士の職業は魔法騎士。


詠唱が短いファイアーボールの詠唱を始める。


前衛の二人は重盾を構え直し姫の前に進み出る。


オークソルジャー達は詠唱に気付き、慌てて前に出てきた。


前衛二人が今度はしっかり腰を落とし重盾でオークソルジャーの攻撃を防いで、攻撃を弾き飛ばす。


そこにファイアーボールが炸裂。


オークソルジャーの顔面に着弾。


顔面が炎に包まれる。


肉が焼けた匂い。


致命傷ではないが、大きな隙が出来た。


その隙を逃さず、姫が大剣でオークソルジャー2匹を撫で斬り。


オークソルジャー達の襲撃を何とか凌いだ迷宮都市ラビリスの騎士隊。


6人いた騎士達の一人がオークソルジャーに殺されて残る5人。


しかし、オークソルジャーの猛攻により傷だらけの状態。


まだ戦える者は領主の娘ラビリスと後衛の魔法騎士二人だけとなった。


前衛の二人の騎士は重盾も持てない状況。


疲れはてて、座り込んでいる。


ラブリル「少し休んで帰ろう。」


騎士「はい。承知しました。」


魔法騎士二人は倒したオークソルジャー達を解体し素材を取りながら答えた。


そこに迫り来る影。


ラブリル「何者だ!」


ラブリルは大剣を構えて後ろを振り向いた。


そこには冒険者Aランククランの『紅蓮の刃』がいた。


『紅蓮の刃』の人数は6人。


リーダーのエンライと中心メンバー達だ。


エンライ「姫様。どうしました?」


ラブリル「エンライ。良いところに来た。オークどもに辛うじて勝ったが、一人死亡、二人重傷の状態だ。残った我々も怪我をしている。帰りに不安があったのだ。どうかダンジョンの外まで護衛をして貰えないか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る