第331話 千尋の洞窟(その5)

火の鳥のフェンは隠蔽魔法が出来ないみたいなので、ユイが魔法をかけた。


キュウ「ヒロト様、この先の部屋で何者かが戦っているようです。どうやら人間同士で争ってるようです。」


「面倒事はごめんだなぁ。避けて先に行けないかな?」


アンナ「回り道はありません。」


「しょうがない、見ないふりして通り過ぎようか。」


部屋に入ると冒険者が一般の住民を凌辱していた。


冒険者Aが男を俯せに制圧。


男「止めてくれ!」


冒険者A「ははは、良く見ておけ。」


違う冒険者Bが女にのし掛かっている。


女「いやあああ、やめてえええ。」


冒険者B「おとなしくしろ!誰も助けに来ないぞ。」


男「ポーターとして雇ったんじゃ無いのか?」


冒険者A「馬鹿だな、助けに来ない場所に連れ込んだだけだ。」


男「初めからこれが目的だったのか!離してくれ、俺はどうなってもいいが、彼女だけは・・・。」


冒険者A「初めから女が目的なんだ、逃す分けないだろう。」


男「クソー。」


冒険者A「うるさい。」


冒険者Aは男を殴り始めた。


男「グッ。」


(しかし酷いね。喧嘩じゃなくて犯罪だったか。)


ユイ(この冒険者達も赤い布を腕に巻いてるよ。)


(紅蓮の刃だね。)


ユイ(ヒロト様、ご免なさい。同じ女性として許せない。無視して通り過ぎるなんて出来ないよ。)


グレイア(同感です。)


ウィーラ(全くじゃ。)


(やっちゃおう。)


ユイ、グレイア、ウィーラ(((はい!)))


女に覆い被さってる冒険者に、ユイが近づく。


後頭部を持っていた杖で強かに叩いた。


ユイは杖で叩いて気絶した男を、更に蹴飛ばし女の上から退かす。


隠蔽魔法中のユイは冒険者からは見えない。


俯せの男を足で押さえていた冒険者は、何が起こったのか把握出来ずにいる。


ウィーラはそのキョロキョロしている冒険者の後ろに移動する。


後頭部に回し蹴りを放つ。


冒険者は前のめりに吹っ飛ぶ。


グレイアは二人の冒険者を闇に沈ませた。


男と女は何がどうしたのか全く分からず、辺りを見回す。


隠蔽魔法中の俺達の事は認識出来ない。


(このまま、ここは通り過ぎよう。

ここからなら二人でも魔物に会わないで出口に辿り着けるだろう。)


ユイ(そうですね。)


グレイア(行きましょう。)


(うむ。グレイア、紅蓮の刃の冒険者達は樹海帝国に連れていって死神デステルに引き渡してくれ。牢屋にでもぶちこんでおこう。)


グレイア(承知しました。)


グレイアは樹海帝国に転移した。


俺達は先に進む。


アンナ「眷属達がこの階に行き渡りました。尚、下の階にも進んで把握中です。」


「いいね。上層は冒険者も多くいるだろう。出来るだけ他の冒険者と会わないルートで進もう。


宝箱も大した物は無いだろうから、

宝は無視して下の階に行こう。」


アンナ「承知しました。私が先導します。」

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