第330話 千尋の洞窟(その4)

「紅蓮の刃のメンバーなら益々解放出来ないな。」


グンダダ「なに!」


「だって、生かしたまま解放したら、仲間と報復に来るんでしょ。面倒臭いじゃない。」


グンダダ「当然だ!殺してやる。女達も只で済むと思うなよ。」


(デステル、今から男を一人そっちに送るから牢屋に入れておいて。)


デステル(承知しました。)


(俺達に悪さしようとしたので、何をしようとしたか白状させてね。)


デステル(洗いざらい白状させましょう。)


(頼んだ。)


俺は死神デステルの元にグンダダを転送した。


「取敢えず洞窟に入ってみようか。」


ユイ「いいねー。でもどうやって入るの?」


冒険者か領主の許可が無いとダンジョンには入れない。


俺達は冒険者じゃないし、領主の許可も断った。


「俺が隠蔽の魔法で隠れて入って、中から皆を召喚するよ。」


多分召喚は出来るだろう。


「または一度転移で戻って、転移で皆を連れてくる方法かな。」


まあ、どちらかは出来るだろうと、思ってます。


俺は隠蔽の魔法で消える。


入り口の見張りにバレないように中に入る。


ダンジョンの中を少し歩いてみる。


(スラオ、魔力探知で冒険者と魔物が近づいて来ないかチェックしてね。)


スラオ(了解、探知中です。近くにはいません。)


先ず、キラーアントエンプレスのアンナを召喚だ。


「アンナ」


アンナはシュタッと登場。


アンナ「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。」


「大魔王かい!」


突っ込んで頭を軽く叩いておく。


アンナ「あは、お気に召しましたか?」


「うむ。」


このセリフ、こいつ誰から聞いたんだ。


ヒナかサクラかユイか、何れにしても転移者から聞いたんだろうな。


古いアニメだから教えた奴は、転移前はかなり俺より年上だったはず。


女性に年齢の話は厳禁だ。


怖いから誰かは聞かないでおこう。


「アンナ、眷属を出してダンジョンの地下1階の全域を見張ってね。」


アンナ「承知しました。」


アンナは密偵用の眷属を召喚。


沢山の羽蟻が召喚された。


ぶわっとそれぞれ飛んでいく。


今まではスパの小蜘蛛に頼ってたけど、アンナの羽蟻は飛ぶから広い範囲も速そうだな。


よし、全員召喚しよう。


「召喚!」


勇者でエルダーリッチのユイ。


その使い魔である火の鳥のフェン。


フェンは小鳥サイズでユイの肩の上。


魔女のウィーラ。


ダークハイエルフのグレイア。


ヒナの使い魔である九尾の狐のキュウを召喚した。


洞窟内はアンナの眷属で警戒しているが、魔物が急に沸き出す可能性もあるので、先頭にキュウを行かせて、匂いと音の警戒をしてもらう。


スラオの魔力探知も念のため継続だ。


「アンナの眷属がこの階全域を網羅するまで、ゆっくり進むとするか。冒険者と会わない様に進もう。念のため全員隠蔽をかけてくれ。」


グレイア「承知しました。」


各自高位の種族なので隠蔽魔法は使える。


存在を見えなくするだけではなく、魔力も匂いも音も隠す。


高位の隠蔽魔法だ。


しかも仲間には見える。


なんて都合がいいのか。


ご都合主義だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る