第329話 千尋の洞窟(その3)

「俺はこの後、ダンジョンの入り口を見に行って見るが、皆はどうする?」


ブラリリ「私は街を探索し、この都市の料理を調査します。」


「うん。その方がいいな。ブラリリはダンジョンに連れていかない予定だ。ミサキとロクに護衛を頼もう。」


ミサキ「承知しました。」


ミサキはブラリリの足元へ、ロクは小鳥サイズでブラリリの肩に止まった。


グレイア「私は陛下と共に行きます。」


ユイ「私も同行します。」


ウィーラ「妾も一緒に行くのじゃ。」


「よし、決定だ。」


宿の従業員に場所を聞いてダンジョン『千尋せんじんの洞窟』に向かった。


千尋の洞窟に近付いていくと、周りは冒険者らしい人が多くなっていく。


千尋の洞窟の入り口を遠目に見る。


入り口には2名の見張りがいた。


騎士の格好の男と冒険者風の男。


領主の配下と冒険者ギルドで入り口の番をしてる。


冒険者風の男が入り口を通る冒険者達のギルドカードをチェックし、騎士風の男が入場料を取っている。


その時後ろから声をかけられた。


冒険者「おい、千尋の洞窟に興味が有るのか?」


「はい。中に入れないので、入り口だけでも見ようと思いました。」


なんか胡散臭そうな奴だ。


ガッシリした体格で薄汚い。


無精髭を生やして、髪もボサボサだ。


背かに斧を背負っている。


冒険者なんだろうな。


グンダダ「俺はBランク冒険者のグンダダだ。見たところ冒険者じゃ無いだろう。中に連れていってやろうか?」


「中に入る気はないので、お断りします。」


グンダダ「遠慮するな、ポーターとして中に連れていってやる。」


グンダダは右手で俺の左袖を掴んで引っ張ろうとした。


俺は護身術の要領で、手首を返してグンダダの右手首を関節を極めて、肘を押さえて倒した。


グンダダは俯せで倒れる。


俺はグンダダの右手首を極めたまま背中に馬乗りになり制圧した。


「遠慮してないよ。断ってるのに無理矢理連れていこうとするとは、何か下心でも有るのかな?」


グンダダ「おい、小僧!こんな事して只で済むと思うなよ。」


「どうなるのかな?」


グンダダ「俺の仲間が黙ってないぞ!今すぐその手を離せ!」


グンダダは身体を動かし逃れようとするが、ガッチリ押さえているのでびくともしない。


「ふ~ん。仲間がねぇ。手を離すのは断る。」


グンダダ「このガキぃ!ぶっ殺すぞ。」


グレイア「その格好でそんな事言っても迫力はないよ。むしろみっともない。」


グンダダ「ふざけるなよ。」


「さて、何をしようとしたのか教えて貰おうかな?」


ユイ「この男、腕に赤い布を巻いてるよ。『紅蓮の刃』っていうクランのメンバーじゃ無い?」


「本当だ。これはこのままじゃ済ませられなくなったね。」


グンダダ「そうだ!俺は紅蓮の刃のメンバーだ。今すぐ解放しろ。」

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