第321話 VS暗黒街の組織
ヴァルキリーのスクルドが、アマゾネスのハーミアに雷撃を放った。
ハーミアは身構えたまま目をつぶる。
いつまでも雷撃の衝撃は無い。
恐る恐る目を開ける。
黒い手が目の前にあった。
誰の手なのか、顔を向ける。
「グレイア様・・・。」
そこには樹海帝国配下のダークエルフ国女王、ダークハイエルフのグレイアがいた。
グレイア「スクルド、そこまでにしな。」
スクルド「グレイア・・・。」
グランダ「貴様!何者だ。」
グレイア「樹海帝国ダークエルフ国女王のグレイアです。この戦、私が預かります。」
グランダはスクルドを見る。
スクルドは頷き両手を上げる。
スクルド「私は樹海帝国と敵対しない。」
グランダ「ちっ、たった一人だぞ。ここで消せば樹海帝国には分かるまい。」
スクルド「馬鹿な、暗黒街ミレースの全ての兵力でもグレイア様には勝てんよ。例え古代兵器を使ってもな。我々は降りた。」
グランダ「ふん。臆病者は引っ込んでな。皆かかれ!」
ハーミアに蹴飛ばされたライオンの半獣人のライガムが、起き上がりナイフを持って構える。
ダンピーラのヴァズドが剣を抜き八双に構える。
半魔族達もそれぞれ武器を出して構えた。
グランダはエルサラから奪った銃を向ける。
グランダがグレイアに銃を撃つ。
グレイアの腹に弾丸が吸い込まれる。
グレイアの腹の前には闇が浮かんでいた。
グレイアは無傷。無表情。
何も変わらず、立っている。
ヴァルキリーのヒルドは呆れている。
ヒルド「あ~あ、やっちゃった。私は知らないよ。」
グランダ「なんだ、ただのダークエルフじゃ無いのか?くそ!」
タタタタタン!
高い音が鳴り響く。
グランダは銃を連射していた。
グレイアの前に浮かぶ闇に弾丸は吸い込まれた。
グレイアを囲んでいたグランダの仲間は戸惑い攻撃に移れない。
グレイア「宣戦布告。確かに受け取った。」
グレイアから邪気と魔力が溢れ部屋に拡散した。
グランダは耐えられず膝をつく。
グランダ「な、なんだこれは!」
天井に闇が広がっていた。
突然後ろが光り、熱風が吹き出す。
グランダ達は後ろを振り向く。
後ろにいた数人の半魔族達は焼き焦げていた。
その頭上には火の鳥のフェンが浮かんでいる。
前からも大きい音がした。
ミサキ「おいおい、余所見するなよ。」
グランダは声がした前を向く。
巨大な黒猫ミサキがグレイアの隣で牙を剥いている。
その足下には半獣人のライガムとダンピーラのヴァズド、何人かの半魔族が倒れていた。
一瞬のうちに勝負は終わっていた。
グランダは空笑いをして銃を床に置き両手を上げる。
グランダ「降参だ。」
グレイア「断る。」
グレイアは無表情。
グランダ「えっ。」
グランダは驚愕。
天井の闇から闇の触手が伸びてグランダの心臓を突き刺した。
天井の闇から次々と触手が伸びてハーフエルフのエルサラとエルサイアを拘束していた縄を切っていく。
エルサラとエルサイアは立ち上がる。
エルサラ「グレイア様、有り難う御座います。」
エルサイア「有り難う御座います。外の仲間が心配なので失礼します。」
エルサラとエルサイアは、部屋を出ようと振り向く。
ハーフエルフの幹部の一人である、ハーフダークエルフのグライガが立っていた。
グライガ「仲間はグレイア様に助けていただきました。」
エルサイア「無事だったのか。良かった。」
グライガは外で半魔族達と戦う仲間を指揮していた。
拘束されたままの半魔族の王グリガスは床に横たわったまま。
グリガス「グライガ、俺の仲間はどうなった?」
グライガ「全員、グレイア様に捕まっているよ。」
グリガス「半獣人とダンピーラどもはどうした?」
グライガ「消えたよ。」
グリガス「消えただと!」
グレイア「樹海帝国の痕跡は残せないのでな。目撃者は始末した。」
グリガスはグレイアを向く。
グレイアの足下から闇が拡がる。
グランダとその仲間の死体は闇に吸い込まれて消えた。
グレイア「こんな風にな。」
グリガスは青ざめた顔でグレイアに訊ねる。
グリガス「俺はどうなる?」
グレイア「勿論、目撃者は消す。」
グリガス「え!助けてください!」
グリガスも闇に吸い込まれた。
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