第320話 四つ巴

半魔族が人質のハーフエルフである、エルファの右手をエルサラに見えるように伸ばす。


別の半魔族がナイフを出す。


エルファ「ひぃ!」


怯えているエルファ。


涙声でエルサラに謝る。


エルファ「私の為に申し訳ございません。」


グリガス「エルサラ、古代兵器の在処ありかを吐け!」


エルサラは諦めた素振り。


エルサラ「私の部屋にある。」


グリガス「案内しろ!」


エルサラに案内されてエルサラの館に入る。


一堂は次の順に歩いている。

拘束されたエルサラ。

エルサラを連れた半魔族。

半魔族の王グリガス。

半魔族のグランダ。

人質のハーフエルフのエルファ。

エルファを拘束する半魔族。

拘束されたハーフエルフのエルサイア。

エルサイアを拘束している半魔族。

ライオンの半獣人ライガム。

ダンピーラのヴァズド。

ヴァルキリーのスクルド、ヒルド、スコグル。

不満いっぱいの顔で続くアマゾネスのハーミア。

後ろに半魔族の手下数人が続く。


グリガス「そう言えば、ハーフエルフどもの数がやけに少ないな。奴隷にして売る為に居場所も聞いておくか。」


ライガム「戦えない者は樹海帝国に避難しているぞ。」


グリガス「樹海帝国?聞いてないぞ。」


ライガム「言ってないからな。」


グリガス「止まれ!」


一堂は歩みを止める。


グリガスはライガムの元に歩いて行く。


グリガス「ライガムどういう事だ。」


グリガスの後ろにいたグランダが、グリガスの後頭部を剣の柄で殴った。


グリガスは前のめりにに倒れて、床に両手をつく。


ライガムがグリガスを素早く拘束した。


ライガム「こう言うことだ。」


グリガス「くっ、貴様ら。裏切ったのか。」


グランダ「ははは、我々は初めからオーチ伯爵の手の者さ。さあ、エルサラ案内を続けろ。」


スクルド「オーチ伯爵か。」


グランダ「スクルド様、古代兵器はグリガスとの約束通りお渡ししますので、引き続き宜しくお願いします。」


スクルド「樹海帝国と敵対しない条件であれば、引き続き手を貸そう。」


グランダ「それで充分です。我々も樹海帝国と敵対する気はありません。」



拘束されている半魔族の王グリガスが叫ぶ。


グリガス「外のハーフエルフどもを倒したら、仲間達がここに駆けつけて来るぞ。」


ライガム「ははは、何も手を打たないでこんなことをすると思っているのか?お目出度い奴だ。」


グリガス「どういう事だ。」


ライガム「暗黒街ミレースには四人の王がいる。」


グリガス「それがどうした!」


ライガム「ここに二人の王がいるが、残りの二人の王は何をしていると思う?」


グリガス「ま、まさか。」


ライガム「今頃、半獣人の王とダンピーラの王が半魔族とハーフエルフ達を殲滅してる頃さ。」


グリガス「仕組んだな!」


グランダ「ははは、半獣人の王とダンピーラの王は初めからオーチ伯爵の配下だ。」


グリガス「なに・・・。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


一堂はエルサラの部屋に入った。


グランダ「それで、古代兵器は何処にあるのかな?」


エルサラは押し黙る。


ライガムは突然エルファを蹴り上げる。


エルファは拘束されたまま吹き飛び壁にぶつかる。


エルファ「ぐふっ。」


エルサラ「何をする!」


ライガム「エルサラ、さっさと在処を言え!」


エルサラ「くっ。」


ライガムはエルファに更に近づき殴る。


ライガム「こいつを殺すぞ!」


ハーミアはもう我慢の限界に達していた。


ハーミア「止めろ!卑怯だぞ!」


ライガムを後ろから蹴飛ばしライファの前に立つ。


スクルド「ハーミア、止めろ。そこをどけ。」


ハーミア「退かない!こんな遣り方に正義は無い!」


ハーミアは身構えた。


グランダ「スクルド様、これはどういうことですか?」


スクルド「私の従者が裏切ったのでしょうな。」


スクルドは淡々としている。

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