第315話 暗黒街ミレース(その6)

「樹海帝国唯一のエルフ、元魔法学園校長のエルセラに聞いてみるのはどうかな?顔が広そうだし。」


ウィーラ「そうじゃな。エルセラは魔法学園の教師も長い間してたから、知り合いも多いじゃろ。」


グレイア「なるほど、好きじゃないけど聞いてみるわ。」


樹海帝国にある魔法ギルド本部の一室。


ダークエルフの女王でダークハイエルフのグレイアが、元魔法学園校長で現魔法ギルド長のエルセラと向かい合う。


エルセラ「グレイア様、どんなご用でしょうか?」


グレイア「南の王国の暗黒街ミレースは知ってるかしら?」


エルセラ「詳しくはありませんが、知っています。」


グレイア「ミレースの四天王の一人、ハーフエルフの勢力の長であるエルサラに面会したいのだけど、つてが合ったら紹介して欲しいの。」


エルセラ「確か、・・・妹の友人がミレースの初期メンバーだった気がします。」


グレイア「おお、それは重畳。妹は何処にいる?」


エルセラ「港町スーオで錬金術師をしています。」


グレイア「ふむ。名前は?」


エルセラ「エルソルです。」


グレイア「精霊と契約しているエルフか?」


隷族契約に囚われた精霊を現精霊王レイが解放したいと望んでいる。


精霊と契約しているエルフは樹海帝国の敵認定だ。


もしエルセラの妹が精霊契約していれば、精霊を解放し罰を与えなければならない。


エルセラ「妹はハーフエルフです。

精霊契約は出来ません。樹海のエルフから逃げて南の王国に行きました。」


グレイア「そうか。それは良かった。妹を紹介してくれ。一緒にスーオに行くぞ。」


エルセラ「承知しました。」


グレイア「じゃあ、私の手を掴め。」


エルセラ「え!」


エルセラは反射的にグレイアの手を握った。


グレイアとエルセラの足下に影が広がる。


二人は影に沈んでいく。


エルセラ「えっ、え、今直ぐですか?」


二人は影に沈んで姿が消えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


港町スーオの人気ひとけの無い路地裏。


地面に影が現れる。


広がった影から二人が浮かんでいく。


エルセラ「え?」


グレイア「時間が無いのだ。スーオについたぞ。」


エルセラ「転移魔法ですか?」


グレイア「そうだ。」


エルセラ「はぁ。分かりました。

妹の店に案内します。」


エルセラは諦めた顔で路地を歩きだす。


エルセラは「・・・今日の予定はを全てキャンセルですね。」


グレイア「ああ、そうなる。悪いな。魔法ギルドの方は副ギルド長に念話で連絡するのだな。皇帝陛下からの命令と言えば、文句はあるまい。魔法国女王のウィーラはこの件を承知しているのでその事も併せて伝えるのだな。」


魔法ギルドは魔法国に本部があり、魔法国女王ウィーラの配下にある。


上司にあたるウィーラが了承済みで、皇帝陛下の命令であれば最優先事項だ。他の全ての予定を変更してでも実施する必要がある。


エルセラ「はい。そう致します。」


暫く歩くと一軒の店の前に来た。


引き戸を開けて店に入る。


エルソル「いらっしゃいませ~。」


グレイア「おや、随分明るいな。」


エルセラ「エルソル久し振り。」


エルソル「お姉ちゃん!どうしたの?いつスーオに来たのよ。連絡してよ~。」


エルセラ「さっきスーオに来たんだ。それより、こちらは樹海帝国ダークエルフ国女王で后妃のグレイア様だ。エルソルに聞きたいことがあって見えた。」

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