第313話 暗黒街ミレース(その4)

ハーミアは展開に付いていけず挙動不審だ。


グランダ「俺のボスに会って欲しい。お前達の目的の手助けが出来るかも知れない。」


スコグル「かも知れない?」


ヒルド「出来ないかも知れない。」


グランダ「目的がそもそも分からないからね。」


スクルド「ふむ。会うだけ会ってやろう。案内しろ。」


グランダ「良かった。こっちだ。」


グランダは後ろを向いて歩き出し、ニヤリと笑う。


スクルド達はグランダの後を付いていく。


ハーミアは慌てて付いていく。


歩き始めてスコグルが、グレムリンハーフを草むらに投げる。


スコグル「返してやろう。」


草むらには半魔族の女がいて。


グレムリンハーフを受け止めた。


半魔族の女はグレムリンハーフの男を抱き抱えて付いて行く。


ハーミアは後ろからついてきたという10人の気配が、全く分からなかった。


草むらに半魔族の女が隠れていたのも分からない。


このままでは、スクルドの足を引っ張りそうな焦燥感を覚える。


一部始終を小蜘蛛の念話で見ていた俺達。リビングで皆で見ている。


ハーミアがオロオロしてるさまを見て。


グレイア「相変わらず、ハーミアはダメダメね。」


ウィーラ「そのうちスクルドの足を引っ張るじゃろうな。」


ユイは頷く。


グレイア「スクルドはクールだから見放すかもね。」


ユイ「ヒポリュテに教えておくわ。」


ウィーラ「ヒポリュテは領民の為に、ハーミアを追放したと聞いてるぞ。」


ユイ「でも、血の繋がった母子でしょ。心配してるはずだわ。」


「心配はしてるだろうね。」


ユイ「でしょう。ヒポリュテには連絡します。」


「教えても良いけど、ヒポリュテが何か出来るとは思えんな。」


ヒナ「しょうがないなぁー。キュウに密かに護衛して貰うわ。」


サクラ「じゃあ、ミサキも派遣するわ。」


「君達、優しいね。」


ヒナ、サクラ「「でしょうー。」」


「嫌ってると思ってたよ。」


ヒナ「怒っていたけど、別に嫌ってた訳ではないよー。」


グレイア「釘を差しただけよ。」


「ふ~ん。まあ、いいか。」


グランダに案内されて、スクルド達は大きめの建物の遺跡に入った。


グランダの後に付いて奥へ奥へと進む。


突き当たりの重厚な鉄製の扉。


グランダが扉を開ける。


中は、謁見の間のようだ。


薄暗い灯りの中、王の椅子に座る男がいた。


グリガス「ようこそ、ヴァルキリーのスクルド。俺はこの町の魔族の王、グリガスだ。」


スクルド「ふん。我々を招いた目的は何だ?渾沌コントンの情報か、それとも饕餮トウテツか?」


グリガス「渾沌コントン饕餮トウテツの情報も聞きたいとは思ってるが、共闘をしたいと思っている。この町に四人の王は多すぎる。」


スクルド「その対価は何だ?」


グリガス「スクルド、お前の狙いは太古の兵器だろう。」


スクルド「ほう、良く分かったな。」


グリガス「この町に価値があるのはそれぐらいだ。」


スクルド「それもそうか。」


グリガス「一緒にこの町の四人の王の一人を倒して欲しい。我々は縄張りが増える。君達はその王が持つ武器を手に入れる。いい取引だと思うがね。」


スクルド「今ここでお前から武器を奪ってもいいんだよ。」

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