第312話 暗黒街ミレース(その3)

ハーミアはスコグルとヒルドを睨んでいると、先頭を歩いていたスクルドが振り返りハーミアの前に来た。


スクルド「ヒルド、スコグル、それぐらいにしときな。世間知らずのお嬢さんに酷よ。」


ハーミアはスクルドを向いて何か言いかける。


スクルドは少女を指差す。


スクルド「こいつは男だ、子供ですらない。」


スクルドはスリの茶髪を掴むと無理矢理引き剥がす。


茶髪はウィック。髪の毛はない。


スリ「チッ。」


スリは顔をあげてスクルドを睨んだ。


スリの幻影魔法が解けて醜悪なグレムリンの顔が現れる。


スクルド「このウィックが魔道具になっていたようだ。」


ヒルド「グレムリンハーフか。」


グレムリンハーフ。

紫の肌。赤い瞳。

目は大きい。

大きく尖った耳。

グレムリンと人間のハーフ。

グレムリンは通常身長50cmぐらいだが、子供ぐらいの身長100cm~120cmぐらいだ。


ハーミアは驚愕する。


グレムリンハーフのスリは、自分の手首を掴んでいるスコグルの手に噛みつく。


スコグルは掴んだ手首を振り回す。


グレムリンハーフは噛みつけず。


地面に叩きつけられた。


スリ「ぐふっ」


男「そのぐらいにして貰えないかな?」


人だかりの中から一人の男が歩いてきた。


人だかりから出てきた男は半魔族。


黒っぽい紫の肌。黒髪。赤い目。

耳が尖ってる。

その他は人間と変わらない。


村人の布服の上下。

靴を履いている。

腰にショートソード。


スクルド「誰だ、このスリを見逃せって言ってるのか?」


グランダ「俺はグランダその男の仲間だ。どうか見逃して貰えないかな?」


スコグル「見逃す対価は何だ?」


グランダ「対価は無い。」


ヒルド「話にならないな。」


スコグル「じゃあな。」


スクルド、ヒルド、スコグルは振り返り先へ進む。


スコグルはスリを引き摺ったまま歩く。


ハーミアはスクルド達とグランダを見比べている。


ヒルド「ハーミア、行くよ。」


ヒルドは前を向いたままハーミアを促す。


ハーミアは慌てて付いていく。


グランダ「甘くないか、参ったなぁ。お前達がこの町に来た目的は何だ?」


グランダは駈け足でスクルド達の横に並ぶ。


スリの男を無視して、横を歩きながら話し掛ける。


ヒルド「それを聞くのが目的か?」


グランダ「ぐ、・・・。」


グランダは言葉に詰まる。


スクルド「正解か。」


スクルド達は人気ひとけの無い裏道に歩いて行く。


グランダは付いていく。


スクルドは振り向いてグランダを見た。


スクルド「で、どうする。後ろの奴等も仲間だろ。」


ヒルド「全部で10人か、そんな数で我々を倒せると思ったか?」


グランダ「戦う気は無い。ヴァルキリーのスクルド相手に、10人では話にならないだろう。俺の身を心配してついてきただけだよ。」


スコグル「私達が何者か知ってたか。知っていれば戦いを挑まないだろうな。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る