第311話 暗黒街ミレース(その2)

俺達は城のリビングに戻った。


「アンナ、眷属念話でミレースの状況を報告出来そうになったら教えてね。。」


アンナ「御意。」


ハク「ミレースは小蜘蛛じゃなくて、アンナに任せたのね。」


「スパの小蜘蛛同様に小蟻で情報収集が出来るんだって。」


ヒナ「すごーい。」


ルシー「樹海帝国内と同様に『闇の風』ヤグルの部隊もミレースに行かせた方が良いかもね。」


「そうだね。ミレースに限らず、南の王国全体で他の町も監視下に置いても良いね。規模と人選はデステルに任せよう。」


ルシー「了解、デステルに伝えておくわ。」


「宜しくね。」


スパ「ミレース関連で一つ情報があります。」


「お、なんだい?」


スパ「ハーミアにつけている小蜘蛛からの報告です。ハーミア達一行がミレースに入りました。」


「はぁ?何やってんだ。」


ユイ「一行と言うと、ヴァルキリーのスクルド達も一緒ね。」


スパ「はい。」


ウィーラ「ミレースにもヴァルキリーの仲間が居るのかのぅ?」


スパ「そこまでは把握出来ていません。」


「そか。取り敢えず状況を念話で確認してみよう。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


暗黒街ミレース。


ヴァルキリーのスクルド、ヒルド、スコグルとアマゾネスのハーミアが歩いている。


スクルドは南の王国の元国王親衛隊隊長で、殺された第2王子の婚約者。有翼人から進化したヴァルキリーだ。


スクルド「先ずは宿の確保だな。」


スコグル「この先に信頼出来る宿が有ります。」


スクルド「うむ。」


前方より身なりの汚い少女が、

下を向いたまま歩いてきた。


長い茶髪。ぼそぼその髪質。


裸足。ヨロヨロしている。


ハーミアの方に向かって来る。


ハーミアは躱したと思った。


ハーミアの躱した方に少女も躱した。


ぶつかる。


少女「ご免なさい。」


少女は謝りその場を立ち去ろうとする。


少女は立ち止まりスコグルを見た。


睨む。


スコグルが少女の右手の手首を掴んでいた。


ヒルド「ハーミア、不用心よ。」


ハーミア「え?」


少女の右手には、ハーミアの財布。


金貨が入った小さい袋が握られていた。


ハーミア「泥棒!」


スコグル「スリよ。返しなさい。」


スコグルは掴んだ少女の右手首を捻ると、少女を地面に押さえ付けると袋を奪う。


道の周りでは住民達が立ち止まり様子を見ていた。


段々人だかりになっていく。


ヒルド「はぁ、ハーミア、ここは暗黒街ミレースよ。隙を狙ってお金や命を取ろうとする者があちこちにいるの。」


スコグルは袋をハーミアに渡すと少女の脇腹を蹴る。


少女「う!」


少女は呻くと左手で脇腹を押さえてうずくまる。


スコグルは少女の右手首を掴んだままだ。


ハーミア「スコグル、離してあげて、スリとはいえこんな小さい女の子に暴力は可哀想よ。」


スコグル「ははは、とんだ甘ちゃんね。」


ハーミアを蔑みの目で見る。


ヒルド「ハーミア、あんた馬鹿なの?」


ヒルドはハーミアを馬鹿にした顔。

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