第310話 暗黒街ミレース(その1)

昨日はスーオ町のコテージに一泊。


ホテルの食堂で朝食を食べた。


朝食はバイキングだけど、港町オースの郷土料理、ロシとマスフニをチョイス。


ロシはクレープ生地のようだ、弾力があり、もっちり、しっとり。


マスフニはカツオの切り身とココナッツフレーク、玉ねぎのみじん切り、唐辛子のみじん切りにライム果汁と塩を混ぜたもの。


ロシにくるんで食べる。


その他は新鮮なフルーツジュースを飲み、同じく新鮮なフルーツを食べた。


妻達は満足して城に戻った。


「さて、次の町に行こうか。ところでここから一番近い町はどこだろう?」


グレイア「ホテルで色々聞きました。」


「お、グレイア、やるね~。」


グレイア「幾つか近い町があったのですが、その中で個人的に興味がある町があったので、その町に行ってもいいでしょうか?」


「どんな町?」


グレイア「ミレースと言うハーフエルフが住む町があるらしいのです。」


「そういえば、グレイアの国はダークエルフとハーフエルフがいるんだったね。」


グレイア「そうです。迫害されているようなので、希望があれば我が国に連れていきたいと思いまして。」


「いいんじゃない。その町に行ってみよう。」


グレイア「実はハーフエルフだけではなく、ダンピーラや半魔族や半獣人、半魚人等、他の種族同士の混血が住んでいます。他の町とは表だっての交流はなく、裏組織と通じてると言う噂もあって、ちょっと危険かも知れません。」


「いいよ、行こう。」


グレイア「有難う御座います。」


ホテルから馬車を出して出発した。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「あの町か。」


遠目に見える。遺跡のような町。


グレイア「そうです。あの町です。」


「相当古い遺跡みたいだね。」


グレイア「そうなんです。元々遺跡だったとの事。


そこに住み着いたのです。


始めはハーフエルフ達でした。


エルフの能力が薄まり、精霊契約が出来ず、しいたげられていたハーフエルフ。


奴隷として、王国に連れてこられて、ろくな食料も与えられず、

過酷な労働に衰弱していく身体。


耐えきれずに逃げ出した。


雨露を凌ぐために辿り着いた。


誰も住んでいない廃墟となった遺跡。


荒らされて、堀尽くされた。


荒れ果てて、朽ち果てた。


そして誰も寄り付かなくなった遺跡。


そこに隠れ住んだ。


同様に吸血鬼と人間のハーフであるダンピーラや、半魔族、半獣人、半魚人も集まる。


偶々遺跡の中から古代の武器を発見し、追手を追い払う。


そこに犯罪者や村や集落から弾かれて、行き場のなくなった者。浮浪者や孤児。


貧困から税が払えなくなった少数民族も、庇護を求めて住み着くとスラムとなり、目をつけた裏組織が利用し暗黒街と化した。


臭いものに蓋をするように見て見ぬふりをする周りの町とその住民達。


いつの間にか王国でも手出しが出来なくなった。


いや、むしろその勢力を利用するため、領主が放置したのかも知れません。」


「ふむ。危険そうだね。ブラリリは城に帰そう。」


グレイア「その方が良いでしょう。」


ユイ「美味しそうな食事があるとも思えないしね。」


ウィーラ「そうじゃな。」


「町の中に入る前に中の様子は探って貰おう。アンナ、スパの小蜘蛛と一緒に町の中の様子を調べてね。」


アンナがシュタッと現れる。


アンナ「御意。私の眷属の小蟻でも偵察は可能です。」


「ほほう。では、小蟻を侵入させてくれ。」


アンナ「御意。」


「んじゃ、一度城に戻るか。」


皆「はい。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る