第309話 港町スーオ(その3)

ウエイトレスの人魚がトロピカルドリンクを持って近づいてきた。


人魚「お飲み物をどうぞ。」


「有難う。」


トロピカルドリンクを受けとると人魚に訊ねる。


「この町は漁が盛んで、魚介類が豊富と聞いたんだけど、どんな漁をしてるの?」


人魚「え~と~。泳いで捕まえるだけです。」


「半魚人と人魚だものね。もりとか網は使うの?」


人魚「う~ん。素手が殆どですが。

大物は銛やナイフも使いますね。」


「貴方達は普段は海に住んでるの?」


人魚「そうです。仕事の時だけ人化して陸に上がります。」


「海には大型で獰猛な魔物が回遊してると聞いたんだけど、出会ったりしないの?」


人魚「よく見ます。見たら逃げます。」


「そうなんだ。泳ぐのが速いんだね。」


人魚「私たちはこの辺りでは、泳ぐのが速いです。」


「なるほど。」


別の人魚が近づいて来た。


人魚「もう少しで食事の時間になります。宜しかったら食堂にどうぞ。」


「お、そんな時間か。みんな~!食事にいくよ~。」


「ところでグレイアは部屋の追加は終わったのかなぁ。」


グレイアが後ろに出現。


グレイア「チェックインしたヴィラの隣から、続きのヴィラを5つ追加しました。食事も人数分OKです。」


「そ、そうか。有難う。」


気軽に転移で来るからな。


急に現れるとビックリするよ。


妻達は全員水着にパレオをまとっている。


赤、ピンク、水色、黄緑、オレンジ、黄色、藤色等、派手な色と模様でカラフルだ。


食堂に着いた。


スクルド、ヒルド、ハーミアともう一人がテーブルに座って料理を食べていた。


「こんばんは。スクルド、仲間に会えたのかい?」


スクルド達4人は立ち上がり挨拶をする。


スクルド「こんばんは。陛下、紹介します。元部下でヴァルキリーのスコグルです。」


「樹海帝国皇帝のヒロトだ。宜しく。」


スコグル「スコグルです。スクルド様がお世話になったと聞いております。有難う御座いました。」


スコグルは人魚から進化したヴァルキリーらしい。


ハーミアと同じぐらいの身長。

青い髪。青い目。


パレオのような布を巻いている。


スクルド「陛下の随行の皆様も大勢で賑やかになりましたね。」


「ははは。素晴らしいリゾートだったので、妻達も呼んだんだ。」


ハク「スクルドさん、皇后のハクです。」


妻達も一通り挨拶をする。


妻の何人かはハーミアを睨んでいる。


わりと根に持つのね。


ハーミアは下を向いて項垂うなだれる。


俺達は4人掛けの大きめのテーブルに分かれて座る。


俺のテーブルは俺、右にハク、左にレイ、対面といめんにブラリリ。


カツオの切り身が入っている塩味のスープ。


カツオの出汁の旨味が美味しい透明なスープだ。


薬味で揚げ唐辛子、玉ねぎスライス、ココナッツスライスがついているので、味に変化をつけられる。


ブラリリ「シンプルな塩味が良いです。」


ハク「ご飯にかけても美味しいわ。」


レイ「美味しいです。」


レイが水以外を飲んでるのを久しぶりに見た。


レイはカツオの切り身を俺のお椀に入れてきた。


丸くした魚のすり身の揚げ物。


ココナッツの香りがほんのり。


かりっと美味しい。


ブラリリ「これは、魚のすり身に玉ねぎのみじん切りとココナッツフレークが練り込まれてます。」


ハク「お菓子みたいね。」


三角状の魚のすり身の揚げ物。


カツオと玉ねぎの餡が入ってる。


シナモンの甘い香り。


ハク「これもお菓子みたい。」


ブラリリ「スパイスと辛味が効いてます。」


クレープ状の生地にマグロのフレークと玉ねぎが入ってこんがり焼いたパンみたいな料理。


ハク「マグロのフレークが香ばしいね。」


ブラリリ「スープに入れても美味しいです。」


その他メインのロブスターやフルーツ野菜もたっぷり。


流石さすが海辺の町、魚介類の料理を堪能しました。

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