第305話 饕餮(その7)

野宿を終え、馬車で港町スーオに向かう。


アンナが馬車の中に出現した。


アンナ「ノガートに饕餮トウテツが現れました。」


「そうか、念話で状況を見るか。」


スクルド「え!饕餮トウテツ?」


ユイ「渾沌コントンと同じ四凶の1柱よ。

体長は10mぐらい。

羊の身体、人間の顔。

虎の牙。手足は人間。

羊毛が伸びて絡めとり、

何でも食べる。」


スクルド「四凶とはなんでしょうか?」


ユイ「4柱の悪神です。

梼杌トウコツ饕餮トウテツ窮奇キュウキ渾沌コントンの4柱。


梼杌トウコツ饕餮トウテツ窮奇キュウキは樹海に出現したの。


その内、梼杌トウコツは倒した。


饕餮トウテツ窮奇キュウキは逃げられたのよ。」


スクルド「ノガートが危ないのですね。」


「そうだね。喰らいつくされるだろうね。」


スクルド「むむ。」


スクルドは考え込む。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


饕餮トウテツはノガートの中心に出現した。


白い羊毛が周りの建物を絡めとり壊す。


兵士達が饕餮トウテツに矢を放つ。


矢は羊毛に拒まれ、饕餮トウテツの身体には当たらない。


一人の兵士が槍を持って饕餮トウテツに向かう。


羊毛が兵士の足を絡めとり、振り回す。


兵士はあちこちにぶつけられてぐったり。


饕餮トウテツは兵士を喰い始めた。


周りの建物も壊しては喰らう。


住民達は逃げ惑う。


オーチ「港町スーオに撤退だ!

弓兵はありったけの矢を放て。

住民が逃がすのだ!」


オーチは兵士達に指示すると、馬に乗り逃げ出した。


饕餮トウテツは羊毛で絡めとった馬車や建物の塀を振り回す。


周りの建物を壊し喰らう。


攻撃してきた兵士を、逃げそびれた住民を捉えて喰らう。


逃げ出した住民の中にハーミアがいた。


ハーミアも必死で逃げているが、周りに人混みがあり思うように走れない。


そのうち周りで逃げてる住民が転倒。


ハーミアも巻き込まれて転倒。


ハーミアは後ろを振り向き饕餮トウテツを見る。


迫ってくる饕餮トウテツの羊毛を見て恐怖の表情。


「ありゃ、ハーミアがいるぞ。

このままだと喰われるな。」


ユイ「ノガートに来てたのね。」


「はぁ。助けに行くか。グレイア、馬車を止めろ。」


グレイア「はい。」


馬車を止める。


「アンナ、眷属召喚して馬車の護衛を頼む。」


アンナ「はい。」


「行ってくるね。」


グレイア「私も行きます。」


ユイ「私も。」


レイとビーは左手にくっついてる。


ウィーラ「妾は馬車で待ってるのじゃ。」


スクルド「私も連れてってください。ヒルドは待機だ。」


ヒルド「はい。」


「うむ。いいだろう。行くぞ!」

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