第304話 ヴァルキリー(その6)

ヒルド「私も式場に駆けつけた時はスクルド様と渾沌コントンが戦っていました。


私はタカージ王子の遺体を探しましたが見つからず。その事をスクルド様に伝えました。」


スクルド「タカージ王子が生存している可能性があることを聞いて、式場を出てタカージ王子を探しました。」


ヒルド「暫く探し回ると、王城の裏門手前でタカージ王子を見つけましたが・・・。」


スクルド「オーダンに殺されていたのだ!オーダンはその後、王城から逃げた。


それを追って行ったのだが、周りには狂った国民達が行方を阻み。

追い付くことは出来なかった。」


ヒルド「オーダンはその後領地に戻り、渾沌コントンが消えたのを知ると王国の覇を唱えた。」


スクルド「我々はモリー侯爵を頼り、オーダンと戦う事にしたのだ。」


ユイ「成る程。恋人の仇なのね。」


「王城の者は狂って戦っていたと言ったが、オーダンは狂って無かったのか?」


スクルド「見た感じ狂って無かった。それもおかしいのだ。


オーダンの部下は狂って無かった。

狂った人達は目を見れば分かる。


普通じゃない目をしていたが、オーダン達の目は冷静だった。」


「スクルドと共に王城に入った者達も狂わなかったのだな。」


ヒルド「はい、スクルド様と私、他3人の計5人で駆けつけましたが、誰も狂っていません。」


ユイ「混乱の魔法をかけた時にいた人々が狂って、後から来た人達は混乱しなかったのかもね。」


グレイア「混乱は厄介ね。」


「もうひとつ、武器も魔法も効かないと言ってたが、その槍と雷撃かな。」


スクルド「そうです。武器を使った時、魔法を使った時に周りの景色が変わりました。」


ユイ「物理無効のフィールド、魔法無効のフィールドを自由に変えられるのかもね。これも厄介だわ。」


渾沌コントンから攻撃はして来なかったのかな?」


スクルド「はい。狂った様にただ、笑っていました。」


「すると本体じゃ無かった可能性もあるな。」


ユイ「武器や魔法は渾沌コントンに当たったのかしら。」


スクルド「当たりました。しかし効かないのです。」


「有難う。辛い過去を思い出させてしまって済まない。」


スクルド達と離れる。


キラーアントキングとヘルハウンドキングがやって来た。


キラーアントキング「陛下、昨日の警備の際に倒した魔物の素材と魔石です。お受け取りください。」


キラーアント達、ヘルハウンド達は近くにいた魔物を狩っていたらしい。死骸から素材になる物と魔石はキラーアント達が取り分けていた。


その他の死骸はヘルハウンド達、キラーアント達が食べたとの事。


キラーアントキングが採取した素材と魔石を俺に渡す。


俺はスラオの影に収納した。


「有難う。助かったよ。また頼むぞ。」


キラーアントキング「いつでもお呼びください。」


アンナ「宜しくね。」


ヘルハウンドキング「我々もいつでもお手伝い致します。」


フェン「焚き火は問題ありませんでした。」


ユイ「フェン、有難う。」


焚き火の番のフェン、警備のキラーアント達、周辺警戒のヘルハウンド達には、朝食をご馳走して送還した。

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