第298話 ハーミア(その6)

従者「ヒポリュテ様、お怪我はありませんか。」


ヒポリュテ「怪我は無い。この部屋は当分使えないので客間に移動しよう。ハーミアに応急措置をして連れてきなさい。」


従者「はい。」


従者二人はハーミアに駆け寄り手当をしているのを横目にヒポリュテは客間に向かった。



ヒポリュテは客間で待っていると、従者がハーミアを連れてきた。


ヒポリュテは一人掛けのソファーに座っている。


向かい合っている二人掛けソファーを指差す。


ヒポリュテ「ハーミアをそこに座らせなさい。」


ハーミアはソファーに腰を掛ける。


ヒポリュテ「ハーミア、何故あんなことになったのかしら?」


ハーミア「私が陛下の優しさを勘違いして図に乗ってしまいました。」


ヒポリュテ「はぁ。あなたは王女なのよ、案内役で陛下に付いた理由は分かってたわよね。」


ハーミア「陛下に気に入っていただき、側室になること。」


ヒポリュテ「そうよ。順番を間違えたようね。側室になってからなら問題はなかったと思うわ。まあ、陛下は南の王国の内戦には関わらないでしょう。勿論、我が国も関わらないわ。国民を危険に晒してまで得るものは無い。ましてやモリーの助けなんて一考の価値もない。」


ハーミア「どうして、ヴァルキリーのスクルド様を助けないのですか?」


ヒポリュテ「その言葉を陛下にも言ったのかしら?」


ハーミア「は、はい。」


ヒポリュテ「アマゾネス国が崩壊しそうな危険を犯してまで、進言する事かしらね。」


ハーミア「それは、結果的にそうなっただけで・・・。」


ヒポリュテ「貴方の言葉にはたみの命がかかっているのですよ。その事を良く考えてね。スクルドを助けることがアマゾネスのたみの為になるのかしら?貴方は王女よ。先ず民の事を最優先に考えるべきね。陛下も同様に樹海帝国の民の事を最優先に考えているでしょうね。それが答えよ。」


ハーミア「しかし!正しいと思うことは進めるべきです。」


ヒポリュテ「なるほど、そんな口調で陛下に迫ったのね。陛下も奥方様も側室の方々も怒る筈だわ。」


ハーミア「う。そうですが・・・。」


ヒポリュテ「ハーミア、残念ですが貴方の教育を間違ったようです。私は貴方の母ですが、女王なので民の事を最優先に考えます。貴方をこれ以上王女の地位に置いておくとアマゾネス国の民が危険にさらされるわ。王位継承権を剥奪の上、勘当します。」


ハーミア「え!」


ヒポリュテ「どうせ何を言っても納得しないのでしょう。自由にスクルドを助ければ良いわ。もうこの国には戻らないでね。」


ハーミア「は、母上・・・。」


ヒポリュテ「さあ、出ていきなさい。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


グレイアが転移でリビングに戻ってきた。


グレイア「ただいま。」


「おう、お帰り。ご苦労さん」


ハク「只で帰した訳じゃ無いでしょうね。」


グレイア「かなり脅したので次は無いでしょう。」


ハク「なら良いわ。有難う。」


グレイア「私も怒ってるのよ。陛下に失礼だわ。」


ルシー「そうよ。私が行きたかったわ。」


ヒナ「ルシーが怒って行ったらアマゾネス国は無くなっちゃうよ。」


ハピ「あはは。」


サクラ「笑い事じゃ無いわよ。」

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