第295話 ハーミア(その3)

客間にヴァルキリーが二人。


スクルドとその部下ヒルド。


スクルド。

短い金髪。青い目。

細く長い眉。

固い意志が籠る瞳。

鎧に身を固めた戦乙女。

長身。白い翼。

スリムだが筋肉質。


ヒルド。

長い金髪。琥珀色の瞳。

穏和な目。

身長はスクルドより低いが長身。

鎧に身を固める。

翼は無い。


スクルド「ヒルド、オーチ伯爵から返答はまだ無いのか?」


ヒルド「まだありません。」


スクルドは拳でテーブルを叩く。


スクルド「いつになったらオーダンに攻め入るのだ。」


ヒルドは身体の前で両手を合わせて下を向く。


スクルド「王子を裏切ったオーダンは許せん!」


スクルドは右の拳を左手左手てのひらに打ち付ける。


スクルド「なんでこんな後方の町に居なくてはいけないのだ!前線で戦うのがヴァルキリーの本分。」


スクルドは両手の掌をテーブルについて俯く。


スクルド「これでは亡くなった仲間達にあわす顔が無い。」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ハーミア「念話って凄いです。こんなにはっきりと、遠くの事が見えるなんて!」


「なんか知らないけど、随分熱い人だな。」


ハク「そうね。ウチにいないタイプね。」


サクラ「ヒロトが苦手なタイプでしょ。」


「そだね。俺と正反対だからね。」


ハーミア「スクルド様の力になりたいです。」


「南の王国の内戦に関わる気はないよ。」


ハーミア「え!こんなに凄い戦力があるのに?」


「ん?どういう意味?」


ハーミア「悪い奴等を倒して、平和な世の中にしないのですか?」


「興味はないな。」


ハーミア「力は弱い人達のために使うべきです。」


「人の喧嘩に割り込んで仲間を傷付ける気はないよ。そして沢山の人を殺す気もない。」


ハーミア「そんな!」


ハク「大体誰が悪い人で誰が弱い人よ。戦争はどちらにも正義がある場合が多いわよ。そして戦うのは弱い人達、死ぬのも弱い人達よ。」


ハーミア「だって、四罪や四凶を平和の為に倒してるんでしょ。」


「いや、降りかかる火の粉を払ってるだけだよ。」


ハーミア「そうなの?」


ハーミアは回りを見渡す。


ハク「そうよ。」


ルシー「そんな感じね。」


「俺の領地に攻めてくるなら戦うさ。」


ハク「なにか話が噛み合わないわね。」


サクラ「スクルドが正義で、オーダンが悪者なのかしら?」


ハーミア「そうだと思います。」


サクラ「思っただけで、ただ上の命令で戦う罪もない兵士達を何十万人も殺すのは正義なの?殺された兵士の家族から見たら私たちが悪者ね。」


ハーミア「え、なんで、何十万人も殺す話になるんですか?」


「俺が内戦に加わって、南の王国を支配して、平和にする話じゃないの?どうして欲しいと思ってるの?」


ハーミア「オーダンとタキーダを倒してモリーが南の王国を統一する手助けをして欲しい。」

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