第288話 ノガート町(その2)

「俺がちょちょいと関所を通って、後で召喚するよ。」


ハーミア「ちょちょいと?」


「レイの認識阻害のスキルかスラオの隠蔽かな?」


ハーミア「認識阻害?隠蔽?」


「こんな感じ。」


レイの認識阻害を発動。


ハーミア「え!」


ハーミアには俺が見えなくなったらしい。


認識阻害を解除する。


「どう?」


ハーミア「はぁ。なるほど。馬車はどうされますか?」


「グレイアが召喚前に影に閉まって。」


グレイア「はい。」


ハーミア「はぁ。私の常識では考えられません。」


「ハーミアはどんな作戦を考えてたの?」


ハーミア「身分を偽り普通の旅人として、関所を通過しようかと思ってました。入国税さえ払えば、詮索もあまりされないと思います。」


「でも入国の記録には残るでしょ。」


ハーミア「そうですね。名前等も偽れば問題無いと考えてました。」


「ふむ。それでも良いけど。記録も残らない方が良いからな。」


「じゃあ、行ってくるね。」


俺はアイの飛翔で飛び上がる。


同時にレイの認識阻害、スラオの隠蔽を発動。


ハーミアからは空に消えたように見えるだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


関所は山と山の間に立てられていた。


城塞。中世ヨーロッパの城のようだ。


城塞から南奥の方に海が見える。


上空から城塞を眺める。


石造り。城壁に囲われている。


城壁は長く山沿いまで延びている。


大きな門。長い行列。


馬車が並んでいる。


この町がノガートか。


城壁を越えて、南の国に入った。


城壁の内側、人気の無さそうな場所に降りる。


認識阻害、隠蔽を解除。


(グレイア、召喚するから準備してね。)


グレイア(準備はOKよ、馬車も影にしまったわ。)


(有難う。皆を召喚するね。)


グレイア(はい。)


皆を召喚した。


ユイ「わあ!あのお城綺麗だわ。中世ヨーロッパの城みたい。」


「そうだね。」


ハーミア「あの城が領主の城館です。」


ユイ「へぇ。お城も近くで見てみたいわね。」


「先ずは宿屋でも探そうか。ハーミア、知ってる宿屋はあるかい?」


ハーミア「あることはありますが、アマゾネス国王家の者と知られますので、やめた方が良いかと思います。」


ウィーラ「使えないやつじゃな。」


ハーミア「え!そ、そんなぁ。」


ハーミアは意気消沈。


「まあまあ、宿屋を探しに行こうか。」


グレイア「樹海の城に転移で戻って寝てもいいよね。」


ユイ「そうね。わざわざ宿を取らなくてもいいわ。」


ブラリリ「折角だからご飯はこっちで食べたいわ。」


ウィーラ「そうじゃな、海鮮が美味しいという話じゃからのぅ。」


グレイア「食事はこっちで、寝るのは城に決定ね。」


勝手に決定しちゃったぞ。


ハーミア「すいません。役に立たないで。」


ブラリリ「美味しいお店を教えてくれればいいですよ。」


ハーミア「はい。」

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