第285話 模擬戦(その4)

ハーミア「弟子!やはり陛下はお強いのですね!」


「ライゴー、余計な事を言うな。」


ハーミアに模擬戦をお願いされると面倒だ。


ライゴー「は?すいません。知らずに余計な事を言ったのですね。」


「むむ、最後はライゴー、ライカ、アンナの3人でオニバルに挑戦してみろ。」


ハーミア「3人で!」


ライゴー、ライカ、アンナ「承知しました。」


オニバル「陛下の御前だ。遠慮入らん、本気で来い。」


ハーミア「3人と戦うなんて、オニバル将軍とそれほど実力に違いがあるのですか?」


ハーミアはレイに問いかける。


レイ「オニバルは剣聖でヒロトの一番弟子だから強いわよ。」


ハーミア「剣聖!・・・陛下の一番弟子。」


オニバルが3人と向かい合う。


アンナが邪気と魔力を纏いショートソードを構える。


ライゴー、ライカが鯉口を切り右手で柄を握る。


アンナが転移。


オニバルの後ろ刀の間合いからちょっと外れた位置に出現。


蟻酸を吐き飛ばす。


オニバルは振り向く。


オニバルに蟻酸が降りかかる。


残像。


オニバルは宙に浮き躱していた。


ライゴーが瞬歩でオニバルに迫り抜刀。


しかしオニバルも抜刀していた。

一閃、一瞬速くライゴーを峰打ちで打ち払う。


オニバルが地面に降りる間際。


ライカが着地点から抜刀し上に斬り上げる。


オニバルは宙にとどまる。


ライカの斬り上げがオニバルに届かず。


斬り上げ中のライカに、オニバルは返す刀、峰打ちの斬り落としで打ち据える。


剣筋が見えない高速の剣速。


ライカがその場で崩れ倒れる。


オニバルが着地。


後ろにアンナが転移。


同時に突き込む。


オニバルは横に躱す。


アンナの突きは光速の三段突き。


躱したところに二段目、三段目の突きが襲う。


オニバルとアンナの魔力が膨れ上がる。


スピードが増していく。


アンナの三段目の突きをオニバルは刀の峰で巻き落とす。


アンナの突きの軌道がズレる。


巻き落としながらオニバルの突きがカウンターで刺さる。


そのまま、アンナは突き飛ばされた。


レイの回復魔法ハイヒールがライゴー、ライカ、アンナを包んでいた。


アンナ「レイ様、有難う御座います。回復が遅れたら危ないところでした。」


アンナは立ち上がり、レイにお礼を言った。


オニバル「済まない。手加減出来なかった。アンナ殿の三段突きは恐ろしいな。」


アンナ「何を言いますか。三段目を巻き落とした上に、突き返すとは思いもしなかったですよ。」


ライゴーとライカもレイにお礼を言う。


ライゴー、ライカ「レイ様、有難う御座いました。」


一瞬の出来事だった。


ハーミアには皆がいつ移動したのか、いつ攻撃したのか、分からなかった。その上剣筋が見えない剣速。


これほどの戦いを見たのは産まれて始めて。


ハーミア「す、凄い。樹海帝国の剣技がこれほどとは。陛下、私も弟子の末席に加えていただきたくお願いいたします。」


「済まない、弟子はオニバルとライゴーだけにしているんだ。」


ライカ「そうよ。私も陛下の弟子になれないんだから。私以外も陛下の弟子希望の者は帝国中に、数えきれないほどいるわ。」


ハーミア「そうですか・・・。」


ライゴー「陛下に代わってオニバル様が教えているんだよ。オニバル様の弟子にはなれるよ。但し、オニバル様の弟子は数万人はいるぜ。」


ハーミア「数万人!それでも良いのです。オニバル様、私も弟子にしてください。」


オニバル「良いでしょう。陛下に言われているので、弟子希望を拒む事はしません。しかし我の稽古は厳しいですよ。」


ハーミア「望むところです。宜しくお願いします。」


これは良い感じに納まったな。

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