第284話 模擬戦(その3)
ハーミアはレイの精霊力に包まれ淡く光る。
胸と背中の痛みが嘘のように消えた。
ハーミア「え!」
驚愕、そして周りを見渡す。
ライカ「レイ様の回復魔法よ。ごめんなさいね、レイ様がいらっしゃったので、遠慮しないで打ち込んだわ。」
ライカは納刀しながらハーミアに話し掛けた。
ハーミアはレイの前に走って来た。
ハーミア「レイ様、有難う御座います。」
「ライカ、腕をあげたな。」
ライカ「陛下、有難う御座います。」
ライカが俺の前に駆けてきた。
尻尾がぶんぶん揺れている。
両手を胸の前に組んで、俺を注視してうるるしてる。
ちょっと照れるので、オニバルに話し掛けた。
「オニバルどうだ。」
オニバル「ライカは文句なしです。訓練の成果が出ています。
最小限に躱して横に払ったので、カウンター気味に入り相当痛かったはず。刃で斬っていれば上下に斬れていたでしょう。
更に念を入れた袈裟斬りも文句はありません。その後も油断なく構えていたのも良い。」
ライカ「それほどでも~。」
「ベタ誉めだねえ。更に上に行くには躱しながら、斬れれば尚良いね。むしろ、斬りながら躱すぐらいの感じで行ければ良いよ。」
ライカ「ああ、アドバイス有難う御座います。精進致します。」
「ハーミアはどうだ?」
オニバル「踏み込みはなかなか良いですが。工夫が足りません。師匠の眷属になっている割にはスピードも足りないですかな。」
ライカ「え!ハーミアも眷属なのですか?ずるいです。私が眷族にしていただくのに時間が掛かったのにぃ!羨ましがる人は多いですよ。オニバル様の弟子は、みんな陛下の眷族になりたがっています。」
オニバルの弟子って数が多いんだよなぁ。
それに現在でも眷属多すぎなんだよな。
誰を眷族にして、誰を眷族にしていないか覚えてないしなぁ。
今のところ人数制限もないようだけど、時間が掛かりそうだ。
「オニバルの弟子は、目覚ましい活躍があった時の報酬で眷族にするよ。頑張る様に言ってくれ。」
ライカ「分かりました。それを聞いたら、みんな目の色が変わりますよ。」
「そ、そうか。」
ちょっと怖いな。
「次、アンナとライゴーね。ハーミアは見てて。」
ハーミアは強者の戦いを見るのも良い経験になるだろう。
アンナ、ライゴー「はい。」
アンナとライゴーが対峙し模擬戦を始めた。
素早い攻防の応酬。
斬られたと思ったアンナは影だったり、アンナが自分の外骨格の腕で刀を受け流したりしながら攻撃を行う。
ライゴーは基本躱して斬る。
しかし斬られる直前まで動かず、寸前で素早く躱すため、ハーミアには斬られているように見えるだろう。
それにも増して二人の動きが速すぎて、ハーミアが目で追えているかは分からんな。
ハーミアはただただ見とれているだけだ。
「止め!それくらいでいいだろう。ライゴーも腕をあげたな。」
ライゴー「恐れ入ります。アンナ様がこれほどとは。」
アンナ「エンプレスだからねえ。そのエンプレスとこれほど打ち合えるとはなかなかだよ。」
ライゴー「いやいや、邪気も魔力も放出せず。キラーアントのスキルも出さないで剣だけで、つきあっていただいています。
これくらいは出来ないと陛下の弟子として面目が立ちません。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます