第280話 有翼人(その10)

ウイグザムがワイングラスに口をつけた。


ウイグザムの動きが止まった。


そしてウイグザムは淡く光る。


恍惚の表情。


多分多幸感で溢れ出してるね。


はたから見るとちょっと危ない薬みたいだ。


暫くそのまま幸せそうにしている。


ウィーラ「妾にもちょっと飲ませるのじゃ。」


はっとするウイグザム。


ウイグザム「こ、これは!」


ワイングラスを見つめる。


ウィーラ「お~い。妾にも飲ませるのじゃ~。」


ウイグザム「すみません。このお酒はやはり家宝にして厳重に秘匿します。」


ウイグザムは、ブランデーの瓶とブランデーの入ったワイングラスを持って、慌ただしく食堂を走り去った。


そりゃそうだろう、やっと価値が分かったか。


ウィーラ「あ、あああ。飲みたかったのじゃ。」


ウイグザムが戻って来た。


手には何も持っていない。


ウイグザム「皇帝陛下、申し訳御座いませんでした。陛下の御言葉を正しく認識出来ておりませんでした。ブランデーなるものがあれほどとは・・・。」


「そうでしょう。」


ウイグザム「あのブランデーは2度と手に入らないのですか?」


だ・か・ら、そう言ってるでしょ!


「手に入りませんよ。秘蔵の一品故。」


ウイグザム「長年苦労した膝の痛みが全くなくなりました。そしてあの美味しさ!お金がいくらかかかっても手にいれたい。」


「それが周辺国に知られたら、争いになります。秘匿した方が良いでしょう。」


ウイグザム「全くその通りだと思います。いくらぐらいなら買うことが可能ですか?」


はぁ。このオヤジ!秘蔵の一品って言ってるだろう!


「売りませんよ。我が国にも数は少ない。」


ウイグザム「そ、そうなんですね。」


ウイグザムは落胆した様子。


どうだ。


ブランデーの価値が分かっただろう。


その後、ようやく食事が始まる。


「同行しているメンバーを自己紹介させましょう。」


今日は皆人化形態で食事に参加だ。


ダークハイエルフのグレイアが始めに自己紹介した。


「樹海帝国傘下、ダークエルフ国女王グレイアです。」


次に魔女ウィーラ。


「同じく樹海帝国傘下、魔法国女王ウィーラじゃ。」


次は亜神ペナンガルのビー。


「樹海帝国将軍のビーです。」


今日は出現していましたキラーアントエンプレスのアンナ。


「樹海帝国砂漠領の領主アンナです。」


ウイグザム「おお!それでは樹海帝国との交易路である砂漠地帯は、アンナ様が治めているのですね。」


アンナ「そうです。」


ウイグザム「ワームどもを蹴散らし、道を作ったのもアンナ様なのでしょうか?」


アンナ「そうです。私の眷属がワームを蹴散らし砂漠を管理してます。」


ウイグザム「そうすると、アンナ様はキラーアントの種族ですか?」


アンナ「そうです。キラーアントエンプレスですよ。」


ウイグザム「エンプレス!エンペラー種なのですね!」


ウイグザムは衝撃を受けたようだ。


美しい人化形態のアンナが、キラーアント種族でしかもランクがエンペラー種だとは誰も想像出来ないだろうね。


エンペラー種は出現すると国が滅びると言われている様だし。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


新作投稿しています。


ぜひぜひ!お読み下さい!!!


タイトルは

『悪逆無道の異世界冒険記』


URLは

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893659463

です。


何卒、応援の程、

宜しくお願い申し上げます。

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